高さhの正三角形の内心を中心とする半径h/3の円は,正三角形に内接します.この円は頂角180°,頂点間距離2h/3の円弧二角形と考えることもできます.正三角形に内接しながら回転することができる図形には,自明な内接円の場合も含めて
円・・・・・・・・・・・半径h/3(頂角180°,頂点間距離2h/3)
ルーローの二角形・・・・半径h/2(頂角120°,頂点間距離√3h/2)
藤原・掛谷の二角形・・・半径h (頂角60° ,頂点間距離h)
などがあります.正三角形の内接円もルーローの二角形も藤原・掛谷の二角形もその周長は2πh/3で等しくなります.
このシリーズが始まったとき,私にとって藤原・掛谷の二角形は既知のものでしたが,ルーローの二角形のことはまったく知りませんでした.私にとって未知というよりは誰も知らない,つまり,ルーローの二角形は忘れ去られた図形であったのだと思われます.今回のコラムでは「藤原・掛谷の二角形」「ルーローの二角形」が正三角形の内転形であることを証明してみます.
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【1】藤原・掛谷の二角形
(1)0≦θ≦π/6のとき
円弧の中心(0,h),半径h
→ p(θ)=h−hcosθ,p(0)=p’(0)=0
(2)π/6≦θ≦5π/6のとき
円弧の中心(h/2,h−h√3/2),半径0
→ p(θ)=−h(1−√3/2)cosθ+h/2sinθ
(3)5π/6≦θ≦7π/6のとき
円弧の中心(0,h−h√3)),半径h
→ p(θ)=h−h(1−√3)cosθ
(4)7π/6≦θ≦11π/6のとき
円弧の中心(−h/2,h−h√3/2),半径0
→ p(θ)=−h(1−√3/2)cosθ−h/2sinθ
(5)11π/6≦θ≦2πのとき
円弧の中心(0,h),半径h
→ p(θ)=h−hcosθ
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【2】内転形であることの証明
ここでは,ω=2π/3とおいて
p(θ)+p(θ+ω)+p(θ+2ω)=h(一定)
となることを示してみます.
とはいうものの,ルーローの三角形ではπ/3毎に等分されていましたから計算は楽でしたが,藤原・掛谷の二角形では面倒になることは避けられません.しかし,0≦θ≦2πの範囲すべてを検証する必要はなく,実際は0≦θ≦ω=2π/3の範囲で済みます.
(1)0≦θ≦π/6のとき,2π/3≦θ+ω≦5π/6,4π/3≦θ+2ω≦3π/2
→ p(θ)=h−hcosθ
→ p(θ+ω)−h(1−√3/2)cos(θ+ω)+h/2sin(θ+ω)
→ p(θ+2ω)=−h(1−√3/2)cos(θ+2ω)−h/2sin(θ+2ω)
p(θ)+p(θ+ω)+p(θ+2ω)=h
(2)π/6≦θ≦π/2のとき,5π/6≦θ+ω≦7π/6,3π/2≦θ+2ω≦11π/6
→ p(θ)=−h(1−√3/2)cosθ+h/2sinθ
→ p(θ+ω)=h−h(1−√3)cos(θ+ω)
→ p(θ+2ω)=−h(1−√3/2)cos(θ+2ω)−h/2sin(θ+2ω)
p(θ)+p(θ+ω)+p(θ+2ω)=h
(3)π/2≦θ≦3π/2のとき,7π/6≦θ+ω≦4π/3,11π/6≦θ+2ω≦2π
→ p(θ)=−h(1−√3/2)cosθ+h/2sinθ
→ p(θ+ω)=−h(1−√3/2)cos(θ+ω)−h/2sin(θ+ω)
→ p(θ+2ω)=h−hcos(θ+2ω)
p(θ)+p(θ+ω)+p(θ+2ω)=h
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【3】ルーローの二角形
(1)0≦θ≦π/3のとき
円弧の中心(0,h/2),半径h/2
→ p(θ)=h/2−h/2cosθ,p(0)=p’(0)=0
(2)π/3≦θ≦2π/3のとき
円弧の中心(h√3/4,h/4),半径0
→ p(θ)=−h/4cosθ+h√3/4sinθ
(3)2π/3≦θ≦4π/3のとき
円弧の中心(0,0),半径h/2
→ p(θ)=h/2
(4)4π/3≦θ≦5π/3のとき
円弧の中心(−h√3/4,h/4),半径0
→ p(θ)=−h/4cosθ−h√3/4sinθ
(5)5π/3≦θ≦2πのとき
円弧の中心(0,h/2),半径h/2
→ p(θ)=h/2−h/2cosθ
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【4】内転形であることの証明
(1)0≦θ≦π/3のとき,2π/3≦θ+ω≦π,4π/3≦θ+2ω≦5π/3
→ p(θ)=h/2−h/2cosθ
→ p(θ+ω)=h/2
→ p(θ+2ω)=−h/4cos(θ+2ω)−h√3/4sin(θ+2ω)
p(θ)+p(θ+ω)+p(θ+2ω)=h
(2)π/3≦θ≦2π/3のとき,π≦θ+ω≦4π/3,5π/3≦θ+2ω≦2π
→ p(θ)=−h/4cosθ+h√3/4sinθ
→ p(θ+ω)=h/2
→ p(θ+2ω)=h/2−h/2cos(θ+2ω)
p(θ)+p(θ+ω)+p(θ+2ω)=h
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