■ディリクレの算術級数定理
正多面体について第1の問題は何かと問われたならば,それは正多面体は何種類あるかという問題だろう.その答えが5種類になることはユークリッド原論に載っているが,その回答を与えたのが誰かは実はよくわかっていない.
素数に関する最も古くから知られている結果「素数は無限にある」もユークリッド原論に載っている.素数が有限個しかかないと仮定して,背理法で矛盾を導き出すのである.
素数を小さい方から順にp1=2,p2=3,・・・,pn(最大の素数)とする.
q=(p1p2・・pn)+1=2(p2・・pn)+1・・・奇数
が素数であるとするとpnより大きな素数が存在することになり矛盾.合成数であるとするとpkで割り切れることになり再び矛盾.
したがって,素数が有限個しかかないという最初の仮定が間違っていたことになる.したがって,素数は無限に存在する.
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[Q]4n+3型奇数の中に素数が無限にあることを証明せよ.
4n+3型素数を小さい方から順にp1=3,p2=7,・・・,pn(最大の4n+3型素数)とする.
q=4(p1p2・・pn)+3
が素数であるとするとpnより大きな素数が存在することになり矛盾.
合成数であるとするとpkで割り切れないので,4n+1型素数では割り切れるはずである.もし,qのすべての約数が4n+1型だけならば,その積であるqは4n+1型になるが,qは4n+3型なので再び矛盾.(4n+3型約数は少なくともひとつは存在する.
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[Q]4n+1型奇数の中に素数が無限にあることを証明せよ.
4n+1型素数を小さい方から順にp1=5,p2=13,・・・,pn(最大の4n+1型素数)とする.
q=4(p1p2・・pn)+1
が素数であるとするとpnより大きな素数が存在することになり矛盾.
合成数であるとするとpkで割り切れないので,4n+3型素数では割り切れるはずである.もし,qのすべての約数が4n+3型だけならば,その積であるqは4n+3型になるとは限らない.
たとえば,
q=(4m+3)(4n+3)=12mn+12m+12n+9
=4(3、m+3m+3n+2)+1
となり,この証明はうまくいかない.
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[Q]ディリクレの算術級数定理(1837年)
数列{a+nd},aとodは互いの素
のなかに素数は無限に存在する.
そして,有名な素数定理(PT)は,漸近分布の形で
π(x)〜x/logx
と表すことができます.素数は無限個存在し,そして等差数列{a+kn}にも素数は無限に含まれるのですが,素数pでa+knの形のものの分布問題がディリクレの算術級数定理です.
π(x;a,n)〜C・x/logx C=1/φ(n)
算術級数定理は素数定理を精密化したもので,初項aの取り方にはよらないのですが,ここで,オイラーの関数φ(n)は1からn−1までの整数のうち,nと互いに素になるものの個数
φ(n)=#(Z/nZ)
として定義されます.たとえば,n=7の場合,1,2,3,4,5,6なのでφ(7)=6,n=10の場合1,3,7,9がそうなのでφ(10)=4となります.
1760年頃,オイラーは,数nが素因数p,q,r,・・・をもつときに,それらの重複度にかかわらず,
φ(n)=n(1−1/p)(1−1/q)(1−1/r)・・・
であることを示しました.この原理は「エラトステネスのふるい」によっているのですが,たとえば,10=2・5,44=2^2・11,100=2^2・5^2より,
φ(10)=10(1−1/2)(1−1/5)=4
φ(44)=44(1−1/2)(1−1/11)=20
φ(100)=100(1−1/2)(1−1/5)=40
また,任意の素数pに対して,
φ(p^n)=p^n(1−1/p)
したがって,
φ(p)=p(1−1/p)=p−1
となります.
なお,算術級数定理の証明にはディリクレのL関数
L(s,χ)=Π(1−χ(p)p^(-s))^(-1)
χは乗法群(Z/nZ)の1次元表現
が用いられます.
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