フルヴィッツ・藤原曲線の接線極座標における方程式は,
p(θ)=r+asin(n−1)θ
r≧{(n−1)^2−1}a
であるが,その一般式は
p(θ)=a0/2+a1cos{(n−1)θ}+b1sin{(n−1)θ} (n≧3)
a0/2≧{(n−1)^2−1}(a1^2+b1^2)^1/2
と表すことができる.
アステロイドの平行曲線はフルヴィッツ・藤原曲線であるが,ハイポサイクロイドの平行曲線は一般にフルヴィッツ・藤原曲線にならないことがわかっている.アステロイドだけが特別な場合なのである.それではその平行曲線がフルヴィッツ・藤原曲線となる曲線を求めてみようというのが今回のテーマである.
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【1】中心曲線の軌跡
(ξ,η)の平行曲線
x=ξ(θ)−cdη/dθ/A
y=η(θ)+cdξ/dθ/A
A={(dξ/dθ)^2+(dη/dθ)^2}^(1/2)
を接線極座標における方程式
xsinθ−ycosθ=p(θ)
に代入すると
{ξ(θ)−cdη/dθ/A}sinθ−{η(θ)+cdξ/dθ/A}cosθ=a0/2+a1cos{(n−1)θ}+b1sin{(n−1)θ}
したがって,
ξ(θ)−cdη/dθ/A=a0/2sinθ+a1sinnθ−b1cosnθ
η(θ)+cdξ/dθ/A=−a0/2cosθ−a1cosnθ−b1sinnθ
より
{ξ(θ)−a0/2sinθ−a1sinnθ+b1cosnθ}dξ/dθ+{η(θ)+a0/2cosθ+a1cosnθ+b1sinnθ}dη/dθ=0
{ξ(θ)−a0/2sinθ−a1sinnθ+b1cosnθ}^2+{η(θ)+a0/2cosθ+a1cosnθ+b1sinnθ}^2=r^2
の中心の軌跡は
ξ(θ)=a0/2sinθ+a1sinnθ−b1cosnθ
η(θ)=−a0/2cosθ−a1cosnθ−b1sinnθ
になる.
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ハイポサイクロイドの平行曲線は一般にフルヴィッツ・藤原曲線にならないが,しかしながら,中心曲線はハイポサイクロイドに似た曲線になることは容易に想像されるところである.
[1]の計算はもちろん最初から
p(θ)=a0/2+a1cos{(n−1)θ}+b1sin{(n−1)θ}=a+bsin{(n−1)θ+γ}
a=a0/2,b=(a1^2+b1^2)^1/2,γ=arctan(a1/b1)
とすることもできるし,最後の式
ξ(θ)=a0/2sinθ+a1sinnθ−b1cosnθ
η(θ)=−a0/2cosθ−a1cosnθ−b1sinnθ
において,
ξ(θ)=asinθ−bcos(nθ+γ)
η(θ)=−acosθ−bsin(nθ+γ)
a=a0/2,b=(a1^2+b1^2)^1/2,γ=arctan(a1/b1)
としても構わない.n=3とおいた場合がアステロイドということになる.
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【2】中心曲線の次数
平行曲線の次数は2n次であることがわかっているが,それでは中心曲線はどうなるのだろう.
簡単にするため,
ξ(θ)=asinθ−bcosnθ
η(θ)=−acosθ−bsinnθ
とおいて
ξsinθ−ηcosθ=p(θ)
に代入すると,接線極座標における方程式は
p(θ)=a+bsin(n−1)θ
となり,その平行曲線と同形になる.したがって,中心曲線の次数も2n次ということになる.
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