■n角の穴をあけるドリル(その36)

 「n角の穴をあけるドリル」シリーズでは,5角,7角,9角・・・の穴をあけるドリルなどオリジナルな内容を掲載してきたのですが,円弧n角形をルーロー曲線と呼ぶことにします.

                  弧の次数   中心軌道

  藤原・掛谷の二角形        2      楕円

  ルーローの二角形         2      楕円

  ルーローの三角形         2      楕円

  ルーローの四角形         2      楕円

  ルーローの五角形         2      楕円

 一方,アステロイドの平行曲線の一般化による内転形の設計も本シリーズが初出ではないかと思われます.

 接線極座標における

  p(θ)=asin2θ−R

はアステロイドの平行曲線で,正三角形に内接しながら回転することができる図形です(フルヴィッツ・藤原の定理).

  p(θ)=asin(n−1)θ−R

はアステロイドの平行曲線を一般化したものであって,正n角形に内接しながら回転することができる図形を与えてくれます.この曲線をフルヴィッツ・藤原曲線と呼ぶことにします.

 ところで,

  p(θ)=asin2θ−R

は6次曲線となるのですが,それでは

  p(θ)=asin(n−1)θ−R

は何次曲線なのでしょうか? 今回のコラムでは,フルヴィッツ・藤原曲線の次数を求めてみます.

                  弧の次数   中心軌道

  フルヴィッツ・藤原の二角形    6       円

  フルヴィッツ・藤原の三角形    ?       円

  フルヴィッツ・藤原の四角形    ?       円

  フルヴィッツ・藤原の五角形    ?       円

  フルヴィッツ・藤原のn角形    ?       円

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【1】フルヴィッツ・藤原の定理の拡張

 卵形線の接線へ原点から引いた垂線の足の軌跡を垂足曲線といいますが,そこで,

  p(θ)→r=√(x^2+y^2)

  cosθ→x/r

  sinθ→y/r

と置き換えてみることにします.

  r=asinθ・(cosθのn−2次多項式)−R

  r=ay/r・(x/rのn−2次多項式)−R

ですから,この曲線は代数曲線になることがわかります.実際に次数を求めてみることにしましょう.

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[1]n=3

  r=2axy/r^2−R

  r^3=2axy−Rr^2

  r^6=(2axy−Rr^2)^2

  (x^2+y^2)^3=(2axy−R(x^2+y^2))^2 → 6次式

[2]n=4

  r=a(−4y^3/r^3+3y/r)−R

  r^4=a(−4y^3+3yr^2)−Rr^3

  Rr^3=−r^4+a(−4y^3+3yr^2)

  R^2r^6={r^4−a(−4y^3+3yr^2)}^2

  R^2(x^2+y^2)^3={(x^2+y^2)^2−a(−4y^3+3y(x^2+y^2))}^2 → 8次式

[3]n=5

  r=a(−8xy^3/r^4+4xy/r^2)−R

  r^5=a(−8xy^3+4xyr^2)−Rr^4

  r^10={a(−8xy^3+4xyr^2)−Rr^4}^2

  (x^2+y^2)^5={a(−8xy^3+4xy(x^2+y^2))−R(x^2+y^2)^2}^2 → 10次式

[4]n=6

  r=a(16y^5/r^5−20y^3/r^3+5y/r)−R

  r^6=a(16y^5−20y^3r^2+5yr^4)−Rr^5

  Rr^5=−r^6+a(16y^5−20y^3r^2+5yr^4)

  R^2r^10={r^6−a(16y^5−20y^3r^2+5yr^4)}^2

  R^2(x^2+y^2)^5={(x^2+y^2)^3−a(16y^5−20y^3(x^2+y^2)+5y(x^2+y^2)^2)}^2 → 12次式

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【2】まとめ

 フルヴィッツ・藤原曲線

  p(θ)=asin(n−1)θ−R

の次数は一般に2n次式となることが確かめられました.また,正n角形の内転形は少なくとも2(n−1)個の頂点をもつことも理解されます.

                  弧の次数   中心軌道

  フルヴィッツ・藤原の二角形    6       円

  フルヴィッツ・藤原の三角形    8       円

  フルヴィッツ・藤原の四角形    10       円

  フルヴィッツ・藤原の五角形    12       円

  フルヴィッツ・藤原のn角形    2n+2      円

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