■質量エネルギー?
核分裂の連鎖反応あるいは核融合をほぼ瞬間的に起こさせるのが原爆,それをコントロールしながらゆっくり起こさせるのが原子炉である.
イオン化エネルギーがeV(エレクトロンボルト)単位であるに対して,X線のエネルギーはkeVの単位(千倍),核力のポテンシャルはMeV(百万倍)でとても強い.その放射線の大きなエネルギーの起源は何だろうか? 核子の結合エネルギーは,長距離力のクーロン力と違って短距離で働いていることが放射線のけた外れに大きなエネルギーの源になっているのである.
地球の中はどろどろに溶けているが,その熱も地下にある放射性原子核が崩壊するときのエネルギーに拠っている.その放射線の大きなエネルギーの起源は何だろうか? それが核子の結合エネルギーである.
俗説に,アインシュタインのE=mc^2で,質量が失われた分だけエネルギーが発生するのが原爆の原理のようなことが書かれているが,この議論はまったくのピント外れである.原爆でも原子炉でも燃料があらかたエネルギーに変換されるというのは完全な間違いであって,質量の減少はごくわずかでもとの質量の1/1000にすぎない.
第2次世界大戦末期に日本に落とされた2つの原爆のエネルギーは質量換算すると銃弾1個分にも満たないが,これでまるまるひとつの都市が破壊された.その結果,ほとんどの質量が「死の灰」として遺されてしまうことになる.
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