■ランダム充填問題

 最適な戦略では理想の恋人と一緒になるチャンスは1/eである(ただし,理想の恋人が1/eゲームをしていれば話は別である).

 次に,1/e^2と関係する空間配置問題を紹介したい.以下の問題はランダム充填問題として科学の世界では別の形で研究されてきたものである.

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【1】映画館の空席

 映画館の客はランダムに着席するものとする.はじめのうちはまだがらがらであるが,隣り合った席は避けることができる.もし,すべての客が連れのない一人客だとすると,あいだに必ず空席を残しながら席が埋まっていく.この場合,ひとりの客が計2席を使うことになり,半分の座席が無駄になる.客が増えてくると空席は次第に埋まっていく.

 次に,すべての客がカップルの場合を考える.カップルが座れなくなった時点で,映画館にはどれくらい空席が残るか? その答えは

  1/e^2=0.135

になるのだそうだ.

 カップルが非効率的に席をとるとすると,カップルのあいだに必ず空席を残しながら席が埋まっていく.この場合,一組のカップルが計3席を使うことになり,1/3の座席が無駄になる.完全に効率的に隙間を空けずに座ると無駄は0になる.

 両者を平均すると(1/2+0)/2=1/6(16.7%)の席が無駄になるが,これは正確な値1/e^2(13.5%)に極めて近い値である.

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