■爆縮レンズ(その4)

【1】オイラーの多面体公式

 正二十面体をイメージして下さい.正二十面体(頂点が12個,正三角形の面が20個ある)の各頂点からのびている5本の辺をそれぞれ1/3の長さの所で切り取り,五角錐をはずします.するとそこに12枚の正五角形が現れ,20枚の正三角形が20枚の正六角形になるわけです.

 サッカーボールは正二十面体の切頂形であって,正五角形が12枚,正六角形が20枚の合計32枚の面で構成されています.12個の正五角形はすべて離れています.

 サッカーボールでは,頂点の数v=60,辺の数e=90ですから,面の数f=32となってオイラーの多面体公式

  v−e+f=2

が成り立っています.しかし,実際に頂点の数vや辺の数eを数えたら途中で間違うこと必定です.

 そこで,正五角形がx面,正六角形がy面あるとします.サッカーボールではどの頂点からも3本の辺が出ているので,5x+6y個の頂点は同じ頂点が重複して3回数えられていることがわかります.したがって,頂点数vは

  3v=5x+6y

 同様に,5x+6y個の辺は同じ辺が重複して2回数えられているので,

  2e=5x+6y

 オイラーの公式に代入すると

  (5x+6y)/3−(5x+6y)/2+x+y=2

より,x=12,y=20,v=60,e=90,f=32

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【2】別解

 (5,6,6)について,正五角形面の数をx,正六角形面の数をyとすると,

[1]大域条件

  f2=x+y

  5x+6y=2f1

  3f0=2f1

  f0−f1+f2=2

[2]局所条件

  f2=(1/5+2/6)f0

  f1=(1/2+2/2)f0

 局所条件をオイラーの多面体公式に代入すると

  f0−45/30f0+16/30f0=2→f0=60,f1=90,f2=32

[注]x,yを使わずに,局所条件とオイラーの多面体公式だけで解くことができたことに留意されたい.

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