■ジンマシン1号

 チューリングマシンと呼ばれる仮想的なコンピュータがある.ヘッドでテープに書き込まれた命令を読みとる.命令は0/1からなる数字の並びであり,あるものは命令の開始と停止をコードし,あるものは実行と対応している.

 多面体を作るために開発されたチューリングマシンを仮にジンマシンと呼ぶことにする(蕁麻疹ではない).原料として正多面体,プログラムとして0/1コードを入れると,準正多面体ができるという代物である.

 たとえば,原料として6次元の正八面体{3,3,3,3,4},プログラムとして6桁の数字,たとえば(010110)を入力すると6次元の準正多面体ができる.その図形は5760個の頂点と20160個の辺をもつ.詳細をプロフィールすると,32160個の面,19680個の胞,5276個の房,476個のファセットをもつ.

 わずか6文字のプログラムでかくも複雑な多面体ができあがるのである(想像できるだろうか).

 少し専門的になるが,プログラムを解読してみたい.(010110)の最初の1は命令の開始をコードする.そして,原料となる正多面体の辺の中点を越えて切頂する(これで辺は消失する).次の0は2次元面,その次の1は3次元面を切断せよという命令である.ここで,最後の1にぶつかるので,これでプログラムは停止となる.

 しかし,ヘッド自体に最後の1かどうか判断する能力はない.そこで,ヘッドを2個用意し,双方向性に読みとりを行うことが必要になる.(DNAの情報読みとりとの大きな違いは,DNAでは5’−3’方向の単方向性であることである).

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