■4次元図形の展開図(その3)
(その2)に掲げた平行多面体同士の変身立体は,私が勝手に「相転移の波動モデル」と呼んでいるものである.東京理科大学の数学体験館(神楽坂)にいけば,15通りの変身図形とそのアニメをすべてみられると思う.
学芸員が常駐しているので,結晶との関係,たとえば,
[1]平行多面体についての第1の問題は,まずどれだけの種類があるかであるが,ロシアの結晶学者フェドロフによって,5種類の平行多面体−−立方体,6角柱,菱形12面体,長菱形12面体,切頂8面体−−しかないことが証明されている(1885年).これら5種類の図形は5種類の正多面体(プラトン立体)ほどよく知られていないが,少なくとも同じ程度に重要であると考えられる所以である.
[2]平行多面体は結晶(金属結晶や鉱物結晶)でよくみられる構造である.たとえば,切頂八面体は体心立方格子のボロノイ領域,菱形12面体は面心立方格子のボロノイ領域である.菱形12面体はザクロ石(ガーネット)にもみられる.立方体は単純立方格子のボロノイ領域で,平行六面体は方解石にみられる.六角柱はコランダム(ルビー・サファイア),歯のエナメル質などにみられるが,長菱形12面体はあまりみられないから平行多面体の異端児であるが魚眼石に対応している(切頂八面体は赤銅鉱).
とか説明してくれると思う.
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一方,私が勝手に「相転移の粒子モデル」と呼んでいるものが「ペンタドロン」である.
平行多面体に関する第2の問題は何かというと,平行多面体元素問題
[Q]何種類か凸多面体を用いて,すべての平行多面体を作りたい.その種類の最小数は何か?
であるが,
[A]答えは驚くべきことに「1」となる.この問題は平行多面体にアフィン合同なものをどれかひとつ作れればよいという意味であるが,ペンタドロンσはそのひとつの答えとなっている.σ2,σ4も元素の定義を満たすから,その形は一意には定まらない.
この事実の証明は非常に簡単である.実際に構成することができるからだ.しかし,ペンタドロンももつ意味は非常に深淵である.この世の中のすべての形がたった1種類の多面体から生み出されているといってもよいからである.
平行多面体はペンタドロン元素からできている・・・イメージミッション社からペンタドロン模型が発売されているが,数学体験館でもミュージアムグッズとして販売されていると思う.
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