■薬の副作用と安全性(その2)

 (その1)で扱ったのは多重比較の問題であるが,当該書で取り上げているのは「n回の試行で一度もその出来事が起こらなかった場合,95%の確実性をもって,その出来事が起こる確率pは3/n以下である」というものである.

===================================

 そのため,

  (1−p)^n>0.95

ではなく,逆確率

  (1−p)^n<0.05

  1−p=(0.05)^1/n

nが大きいとき

  p=1−(0.05)^1/n=3/n

で近似できるというものであった.

 これを「3の法則」を呼ぶのだそうである.たとえば,被験者25人に対して一度も副作用が起こらなかったら,副作用だ出る確率は

  p=3/25=0.12

以下であることを95%の確実性をもっていえるのである.

 逆に,p=0.03の薬が25人の被験者に対して一度も副作用が起こらない確率は,

  (0.97)^25=0.47

p=0.3の薬が25人の被験者に対して一度も副作用が起こらない確率は,

  (0.7)^25=0.00013

で,前者ではそれほど不思議ではないこと,後者では極端に起こりにくい出来事が起こったことになる.

===================================