■ガリレオの迷宮(その1)
ガリレオファンの娘(小5)に「計算すれば何でもわかるの?」と訊かれた.ドラマシーンではある事象が起こる確率を計算して,存在を証明する.
それで思い出したのであるが,
[参]岩澤宏和「確率パズルの迷宮」日本評論社
に
[Q]正40角形の頂点に(辺と対角線のうち)80本が引かれている.このとき40個の頂点に中には互いに線で結ばれていない8個の点が存在することを示せ.
というものがある.
正40角形には40・39/2=780本の辺と対角線があり,そのうち80本だけが線を引かれている.もし,n個の点を選び,その中に互いに線で結ばれている2点があれば,一方の点を取り除くことにする.n個の点から2点を選ぶ組み合わせは
n(n−1)/2
通りあり,線が引かれている確率は
80/780=4/39
したがって,線が引かれている組の期待数は
n(n−1)/2・4/39
となる.
===================================
[A]40個の点P1〜P40において,その次数をdiとすると
Σdi=d1+・・・+d40=160
ここで,Piよりも小さいPjとの間ににのみ線が引かれている集合を考えると,この集合に毒するどの2点間にも線は引かれていないことになる.その確率は1/(di+1)となる.
この集合の元の個数の期待値を求めると
Σ1/(di+1)
ここで,コーシー・シュワルツの不等式
(Σab)^2≦(Σa^2)・(Σb^2)
等号が成り立つのはa1/b1=a2/b2=・・・=an/bnのときに限る
というのが,コーシー・シュワルツの不等式である.n=1のときは相加相乗平均不等式に帰着する.
(Σa)・(Σ1/a)≧n^2
にn=40,a=d+1を代入すると
Σ1/(di+1)≧40^2/Σ(di+1)=1600/(160+40)=8
すなわち,40個の点のうち8個をうまく選べば,どの2点間にも線が引かれていないものができることになる.
===================================