■収束するやせざるや(その1)

 調和級数

 1/1+1/2+1/3+1/4+・・・

は,はじめの1000項で7.485,100万項で14.393,10億項で21.3,1兆項で28.2と非常にゆっくりとですが大きくなり,ついには無限大に発散します.調和級数が発散することは次のようにして容易に示すことができます.

1/3+1/4>1/4+1/4=1/2

1/5+1/6+1/7+1/8>1/8+1/8+1/8+1/8=1/2

・・・・・

したがって,

(調和級数)>1+1/2+1/2+1/2+1/2+・・・→∞

 一方,オイラーのゼータ関数

 Σ1/n^2=1/1^2+1/2^2+1/3^2+1/4^2+・・・(=π^2/6)

が収束することは次のようにして示すことができます.

(証明)n次部分和をPn とすると,

Pn =1/1^2+1/2^2+1/3^2+・・・+1/n^2

<1+1/1・2+1/2・3+・・・+1/(n−1)・n=2−1/n

<2

より,単調増加数列{Pn }は有界でn→∞のとき収束することがわかります.

 なお,級数Σ1/n(n+1)は,優雅な公式Σ1/n2 =π2 /6に表面的にはよく類似していますが,

 Σ1/n(n+1)

=Σ(1/n−1/(n+1))

=(1−1/2)+(1/2−1/3)+(1/3−1/4)+・・・

=1

となり,両者の間には大きな格調の差があるという有名な例になっています.

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