■反直観公式(補遺1)

 『もし,ここに30人の構成員からなる集団があって,この中に誕生日の一致するペアが一組以上いるかどうか? このギャンブルをやるとしたら,あなたはどちらに賭けるだろう.誕生日なんてめったに一致するものじゃないよなあ.まして構成員はたった30人である.一も二もなくペアは一組もいないほうに賭けるのではあるまいか?

 だが,お立ち会い.これがそうでもない.特定の人を選び,その人と誰かの誕生日が一致する確率は確かに小さい.そう,1/365である.30人の集団の中で一致する確率はすこぶる小さいけど,このことと「30人の中の誰かと誰かが一致する」こととはまるで違う.

 確率計算はややこしくて,文筆家に向かないから省略するけど,疑う人は数学に堪能な人に尋ねて下さい.構成員が23人と越えるあたりで一致する確率が50%を越える.つまり,サッカーの試合(選手22人と主審1人)ならば2人が同じ誕生日となる確率は50%である.(これはコイントスして表が出る確率と同じである.

 30人もいようものなら70%位の確率になる.まして,40人,50人ならばさらに高い.構成員3〜40人の職場を想定したとき,誕生日の一致する確率はまずいるものと考えたほうが妥当である.』

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 このクイズは数多くの本で取り扱われた有名なものであるが,確かに,少なくとも2人同じ誕生日の人がいる確率の大きさには驚かされる.

 式を誘導するため,次のような定式化をおこなってみよう.

1番目の人と2番目の人が異なる誕生日である確率は1−1/dである.

また,3番目の人が1番と2番の人と誕生日が異なる確率は,2番目の人は1番目の人と異なる日に生まれたとして,1−2/dである.

したがって,n人全員が異なる誕生日である確率pnは,

  pn=(1−1/d)×(1−2/d)×・・・×(1−(n−1)/d)

となる.求めたい確率pは少なくとも2人同じ誕生日の人がいる確率であるから,

  p=1−pn

 d=365について,n=23では求める確率は0.5073,n=30では0.71,n=40では0.89にもなる.したがって,n=30〜40だったら少なくとも2人は同じ誕生日であるほうに賭けるほうが賢明であることがわかる.

 また,nがdに比べて小さければ,テイラー展開より

  1−k/d〜exp(−k/d)

  Π(1−k/d)〜exp(−Σk/d)

Σk=n(n−1)/2であるから,

  p〜1−exp(−n(n−1)/2d)

となる.

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【Q1】自分の誕生日のパーティーに大勢の人を招待することにする.自分の誕生日がそのうちのひとりと同じのなる確率が50%を超えるには何人招けばよいか?

(A1)ひとりの誕生日が自分の誕生日と同じにならない確率は364/365.n人の客がいて,すべて自分の誕生日と同じにならない確率は(364/365)^n.

 自分の誕生日と同じ人がひとりはいる確率は

  1−(364/365)^n>0.5

より,n>253.この数は直観的な値365/2=180よりかなり大きい.

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【2】オイラーの素数公式

 x^2+x+41のxに0,1,2,・・・,39を入れてできる数はすべて素数である.

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