■置換多面体の空間充填性(その169)
実は(その168)には誤りがある.
Im=√(n−1)/n^2{2a2(a1+b1n)+a1(−a2(n−2)+b2n)√(n+1)}
と展開され,Im≠0ならば,n(≧5)次元の正多胞体の元素数は≧3であることがいえるが,√(n+1)が整数のとき,すなわち,
n=8,15,24,35,48,63,80,99,120,・・・
などでは,正多胞体の元素数は≧2である可能性があることになる.
8次元,24次元という数字にどのような意味があるかというと,実はこの2つの次元はかなり特別な意味をもっていて,高度に対称的な格子状配置になっているため接吻数(τ8=240,τ24=196560)が計算できる特殊な次元なのである.実際に,8次元空間ではδ1+2δ2=360°に対応する空間充填形を2個の正軸体と1個の正単体を組み合わせて構成することができる.
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【1】8次元の特殊性
さらに,このことから5次元以上の空間で,正n+1胞体と正2^n胞体の二面角が2直角にはなるのは,
δ1+2δ2=360°
の場合に限られることもわかるだろう.
cos2δ2=(n^2−8n+8)/n^2
sin2δ2=−4(n−2)√(n−1)/n^2
cos(δ1+2δ2)=cosδ1cos2δ2−sinδ1sin2δ2==(n^2−8n+8+4(n−1)(n−2)√(n+1))/n^3=1
n^3−n^2+8n−8=4(n−1)(n−2)√(n+1)
n^2+8=4(n−2)√(n+1)
n^2(n−8)^2=0
すなわち,8次元においてδ1+2δ2=360°となるが,2種の二胞角で,その和が360°になり,空間充填形を構成できるのは,n≧5のときは8次元の場合だけである.
n δ1 δ2 δ1+2δ2
2 60.0001 90.0001 240
3 70.5288 109.471 289.471
4 75.5226 120 315.522
5 78.4631 126.87 332.203
6 80.406 131.81 344.027
7 81.7868 135.585 352.956
8 82.8193 138.59 360
arccos(1/8)+2arccos(−6/8)
=arccos(1/8)+2π−arccos(1/8)=2π
となって,解析的にも確かめられた.
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【2】まとめ
n≧5のとき,8次元の場合だけ
δ1+2δ3=2π
なる関係が成立するが,このときも直角と有理比ではあっても,2πの整数分の1ではなく,超立方体に解体再編されない.
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