■置換多面体の空間充填性(その147)
これまで,切頂八面体を{3,4}(110)={4,3}(011),{3,3}(111)で表してきたが,切頂八面体は通常(4,6,6)で表される.(4,6,6)の表記法は頂点周囲に集まるn−1次元面を表したもので,表現型(phenotype)といってよい.
その利点は,面数を求めるのに役立つことである.たとえば,正方形面の数をx,正六角形面の数をyとすると,
[1]大域条件
f2=x+y
4x+6y=2f1
3f0=2f1
f0−f1+f2=2
[2]局所条件
f2=(1/4+2/6)f0
f1=(1/2+2/2)f0
局所条件をオイラーの多面体公式に代入すると
f0−18/12f0+7/12f0=2→f0=24,f1=36,f2=14.x,yを使わずに,局所条件とオイラーの多面体公式だけで解くことができたことに留意されたい.
それに対して,{3,4}(110),{4,3}(011),{3,3}(111)は遺伝子型(genotype)を表すものである.
遺伝子型を表現型に変換する手続きをもう一度整理しておきたい.
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【1】fn-1公式
胞数fn-1を数えるだけならば,座標にこだわらず,ファセットが縮退しているか否かどうかを順次調べた方が早道である.
ファセットが縮退しているか否かどうかは,ワイソフ構成から以下のようにして求めることができる.
[1](1,0,・・・,0)→[0,0,・・・,1]
(0,0,・・・,1)→[1,0,・・・,0]
[2a]ワイソフ構成の最も左にある1と最も右にある1の間の成分をすべて1にする.
[2b]隣の成分が0である1を0に変更する.
[2c]両端の成分を1にする.
こうして
m=(m0,m1,・・・,mn-1)→b=[b0,b1,・・・,bn-1]
と変換されるが,
fn-1=Σbkgk
が成り立つ.
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【2】頂点回りのfn-1公式
[1]正多面体の場合
(1,0,・・・,0)→[0,0,・・・,1]
(0,0,・・・,1)→[1,0,・・・,0]
とする.
準正多面体では
[2a]ワイソフ構成の最も左にある1と最も右にある1の間の成分をすべて以下のように置き換える.
中間の0の位置には,連続する0の数をmとして
(m+1,1),(m+1,2),・・・(m+1,m)
中間の1の位置には1=(m+1,0)=(m+1,m+1)
[2b]隣の成分が0である1を0に変更する.
[2c]両端の成分を以下のように置き換える.
第0項:(tp+1,1)
第n−1項:正軸体では2^n-1-fp,正単体では(n−fp,1)
このように, 縮退情報を加味することによって,アルゴリズムは正多面体でもあてはまる.ただし,H3,H4,F4に対して[2a]は別途考える必要がある.
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【3】散在型の場合
[1]H3
第0項:(tp+1,1)に相当するものは1→2→3
第n−1項:正軸体では2^n-1-fp,正単体では(n−fp,1)に相当するものは1→2→5と変化する.
[2]H4
第0項:(tp+1,1)に相当するものは1→2→3→4
第n−1項:正軸体では2^n-1-fp,正単体では(n−fp,1)に相当するものは1→2→5→20と変化する.
[3]F4
第0項:(tp+1,1)に相当するものは1→2→3→6
第n−1項:正軸体では2^n-1-fp,正単体では(n−fp,1)に相当するものは1→2→3→6と変化する.{3,4,3}(1,0,0,1)の0には3.3ではなく4,4を対応させる.
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