■媒介変数と陰関数の描画(その3)
[1]3次曲線のパラメータ表示例
デカルトの正葉線x^3−3axy+y^3=0(a>0)では,y/x=t,すなわちy=txとおくことによってパラメータ表示の形に書くことができます.
x=3at/(1+t^3),y=3at^2/(1+t^3)
この3次曲線は重根をもち,原点(0,0)が特異点になります.
しかし,このままではtとの対応が悪く
x=3a(1−t)(1−t^2)/2(1+3t^3),
y=3a(1+t)(1−t^2)/2(1+3t^3)
の方がきれいに描くことができます.
さらに,
x=at^2(1−t)/(t^3+(1−t)^3),
y=at(1−t)^2/(t^3+(1−t)^3),
と書くこともできます.
t^3+(1−t)^3=1−3t+3t^2
ですから,上記とは別表示になっていることがわかります.
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[2]4次曲線のパラメータ表示例
レムニスケートは
x=t(t^2+1)/(1+t^4)
y=−t(t^2−1)/(1+t^4)
のようにパラメトライズすることができます.
a=1/√2のとき,レムニスケート:r^2 =cos2θ,(x^2 +y^2 )^2 =x^2 −y^2 は,
x=cosθ/(1+sin^2θ)
y=sinθcosθ/(1+sin^2θ)
ここで,
sinθ=(1−t^2)/(1+t^2)
cosθ=2t/(1+t^2)
とおくと,
x=t(1+t^2)/(1+t^4 )
y=t(1−t^2)/(1+t^4 )
のようにパラメトライズすることができますというわけです.
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レムニスケート:極座標系でr^2 =cos2θ,直交座標系で(x^2 +y^2 )^2 =x^2 −y^2 は,三角関数を用いて
x=cosθ/(1+sin^2θ)
y=sinθcosθ/(1+sin^2θ)
とパラメトライズされるのですが,ここで,
t=tan(θ/2)
を使うと
sinθ=2t/(1+t^2)
cosθ=(1−t^2)/(1+t^2)
と表示されますから,
x=(1−t^4)/(1+6t^2+t^4)
y=2t(1−t^2)/(1+6t^2+t^4 )
のようにパラメトライズすることができます.このように,パラメトライズの仕方は1通りではありません.
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次に,もう一つ別のパラメトライズをみてみましょう.レムニスケートは4次曲線ですが,原点(0,0)が有理点ですから,y=mxとおくことによってパラメータ表示の形に書くことができます.
(1+m^2)^2x^4=(1−m^2)x^2
x=(1−m^2)^1/2/(1+m^2)
y=m(1−m^2)^1/2/(1+m^2)
m=tanθですから,t=tan(θ/2)を使うと
m=2t/(1−t^2)
x=(1−6t^2+t^4)/(1+t^2)^2
x=2t(1−6t^2+t^4)/(1+t^2)^2(1−t^2)
と置き換えることもできます.
あるいは,r^4=cos^2θ−sin^2θより,
x=rcosθ=cosθ(cos^2θ−sin^2θ)^1/4
y=rsinθ=sinθ(cos^2θ−sin^2θ)^1/4
ここで,
t=tan(θ/2)
sinθ=2t/(1+t^2)
cosθ=(1−t^2)/(1+t^2)
r=((1−6t^2+t^4)/(1+t^2)^2)^4
を使って置き換えることもできるでしょう.すると
x=(1−t^2)/(1+t^2)・((1−6t^2+t^4)/(1+t^2)^2)^4
y=2t/(1+t^2)・((1−6t^2+t^4)/(1+t^2)^2)^4
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