■はなまるの幾何学(その21)
n角形の穴をあけるドリルでは,1回公転する間に1/(n−1)回自転するという運動を実現させてやればよいことになる.そのためには2つの歯車が必要になる.
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【1】通常方式のドリル
円周mの大円がある.この円に内接しながら円周1の小円が転がるとき,1周するまでに小円は何回転するだろうか?
α:小円の中心の大円の中心に対する公転角
β:小円の自転角
として,弧の長さを等しいとおけば
mα=α+β → m−1=β/α
すなわち,m−1回転するのである.
ついでにいうと外接しながら転がるときは
mα=β−α → m+1=β/α
よりm+1回転するが,内接のときと外接のときとでは小円の回転する方向が逆になる.
ドリルの問題では,ローターの(n−1)公転で1回転(自転)するから,
β/α=1/(n−1)
また,
固定子(内歯車,歯数r)
回転子(外歯車,歯数s)
とおくと,大円の円周は小円のr/s(=m)倍と考えることができるから,
m−1=r/s−1=(r−s)/s=1/(n−1)
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【2】ロータリーエンジン方式のドリル
回転子(内歯車,歯数r)
固定子(外歯車,歯数s)
とおくと,大円の円周は小円のr/s(=m)倍と考えることができる.そして,
α:大円の中心の小円の中心に対する公転角
β:大円の自転角
として,弧の長さを等しいとおけば
α=m(α−β) → m=α/(α−β)
β/α=(m−1)/m
ローターの(n−1)公転で1回転(自転)するから,
β/α=1/(n−1)
に,m=r/sを代入すると
β/α=(m−1)/m=1/(n−1)
(r−s)/r=1/(n−1)
が求める式となり,(その12)の式の導出は正しかったことがわかる.
なお,内側の円を固定させて,外側の円をそれに外接させながらそのまわりを回転させる場合は
α=m(β−α) → m=α/(β−α)
β/α=(m+1)/m
となる.外接させる場合はm−1の代わりにm+1が現れる.
通常方式では公転角と自転角が反対回りであったが,ロータリーエンジン方式は同じ向きなので,ローターに固定された点の軌跡は
x=Rcos(β+γ)+acosα
y=Rsin(β+γ)+asinα
β=α/(n−1)
で表されることになる.
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