■はなまるの幾何学(その17)
[1]ハイポサイクロイド
n個の尖点をもつハイポサイクロイド
x=(n−1)rcosθ+rcos(n−1)θ・・・(1)
y=(n−1)rsinθ−rsin(n−1)θ・・・(2)
において,xはcosθのn−1次式で表されます.
n=2のとき,
f(x,y)=y −2≦x≦2
すなわち,固定円の直径と一致します(コペルニクスの定理).直径は2つの尖点をもっていて,その両端は退化した2つの尖点とみなすことができます.
また,n=3,r=1とすると,デルトイドの媒介変数表示
x=2cosθ+cos2θ・・・(1)
y=2sinθ−sin2θ・・・(2)
で与えられますが,cos2θ=2cos^2θ−1ですから
x=2cos^2θ+2cosθ−1
これを解いて
cosθ={−1+(2x+3)^1/2}/2
また,(1)^2+(2)^2より
x^2+y^2=5+4cos3θ
→(x^2+y^2−5)/4=4cos^3θ−3cosθ
よりcosθを消去すると,直交座標系におけるデルトイドの方程式は
f(x,y)=(x^2+12x+9+y^2)^2−4(2x+3)^3
=(x^2+y^2)^2+18(x^2+y^2)−8x(x^2−3y^2)−27=0
と表されます.すなわち,4次曲線というわけです.
また,星形曲線アステロイドは固定円の半径が回転円の半径の4倍になっているハイポサイクロイドです.n=4,r=1とすると,アステロイドでは
x=3cosθ+cos3θ・・・(1)
y=3sinθ−sin3θ・・・(2)
ですが,3倍角の公式
cos3θ=4cos^3θ−3cosθ
sin3θ=3sinθ−4sin^3θ
を用いると
x=4cos^3θ
y=4sin^3θ
より
x^2/3+y^2/3=4^2/3
を得ることができます.
これは簡単な形ですが,整数ベキに直すために両辺を3乗
3x^2/3y^2/3(x^2/3+y^2/3)=4^2−x^2−y^2
3(4xy)^2/3=4^2−x^2−y^2
さらに3乗すると,アステロイドは6次曲線:
f(x,y)=(x^2+y^2)^3−48(x^2+y^2)^2+432x^2y^2+768(x^2+y^2)−4096=0
と表すことができることがわかります.
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
[2]エピサイクロイド
一方,エピサイクロイドは地球から見たときの惑星の逆行運動の説明に用いられた曲線で,古代ギリシア人は,惑星の動きを表現するために周転円(円の周りをまわる円)を考えていたことが知られています.エピサイクロイドは
x=(n+1)rcosθ−rcos(n+1)θ
y=(n+1)rsinθ−rsin(n+1)θ
で与えられます.
固定円と回転円の半径が等しい場合,エピサイクロイドは心臓型曲線(カーディオイド)を描きます.カーディオイドは,n=1として
x=2cosθ−cos2θ・・・(1)
y=2sinθ−sin2θ・・・(2)
で与えられますが,cos2θ=2cos^2θ−1ですから
x=2cos^2θ−2cosθ−1
これを解いて
cosθ={−1+(3−2x)^1/2}/2
また,(1)^2+(2)^2より
x^2+y^2−5=−4cosθ
よりcosθを消去すると,直交座標系におけるカーディオイドの方程式は
f(x,y)=(x^2+y^2−3)^2−4(3−2x)^3
=(x^2+y^2)^2−6(x^2+y^2)+8x−3=0
と表されます.すなわち,4次曲線というわけです.
ネフロイド(n=2)の場合は,
x=3cosθ−cos3θ=6cosθ+4cos^3θ・・・(1)
y=3sinθ−sin3θ=4sin^3θ・・・(2)
です.(2)よりsin^2θ=(y/4)^2/3を(1)に代入してもよいのですが,ここでは(1)^2+(2)^2より
(x^2+y^2−10)/6=−cos2θ=2sin^2θ−1
に代入すると,6次曲線:
f(x,y)=(x^2+y^2)^3−12(x^2+y^2)^2+48x^2−60y^2−64=0
になることがわかります.
===================================