■ポリオミノの問題(その5)
(Q)2^n×2^nの格子盤から1個のマス目を切り取ったものは,すべてL字型トロミノ
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で覆いつくすことができるか?
(A)2×2から1マス切り取ったものはトロミノであるから,n=1のとき覆いつくすことができることは明らか.nのとき覆いつくすことができると仮定して,2^n+1×2^n+1の格子盤から1マス切り取ったものを考える.
この格子盤を4等分して,中央部から
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を取り去ると,1マス取り去られた2^n×2^nの格子盤が4つできる.仮定より,これら4つの格子盤はトロミノで覆いつくすことができるから4つ合わせれば任意の1マスを切り取った2^n+1×2^n+1の格子盤になる.
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こうして数学的帰納法による証明が完了したというわけであるが,ところで2^n×2^n−1が3で割り切れることが問題の前提条件として必要である.フェルマーの小定理より
2^n×2^n=4^n=1 (mod 3)
であるが,連続するk個の整数の積がk!で割り切れることを使えば(フェルマーの小定理のごとき牛刀をもちだすまでもなく)3で割り切れることを証明することができる.
(2^n−1)2^n(2^n+1)は6で割り切れる
→(2^n−1)(2^n+1)は3で割り切れる
→2^n×2^n−1は3で割り切れる
2^n×2^n−1=4^n−1=(4−1)(4^n-1+4^n-2+・・・+1)であるから,2^n×2^n−1は3で割り切れるとする方が簡単かももしれない.
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[補]実は,L字型トロミノには,2^n×2^nのマス目から任意の1マスを切り取っても,L字型トロミノを使ってカバーできる.これはL字型トロミノの有名な性質で,数学コンテストで何度も取り上げられたことがある.
証明は簡単で,数学的帰納法による.すなわち,
[1]2×2のマス目から任意の1マスを切り取っても,L字型トロミノを使ってカバーできる.
[2]4×4のマス目から任意の1マスを切り取っても,L字型トロミノを使ってカバーできる.(4×4のマス目の中央部にL字型がくるようにする)
[3]8×8のマス目から任意の1マスを切り取っても,L字型トロミノを使ってカバーできる.(8×8のマス目の中央部にL字型がくるようにする)
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(Q)8×8の格子盤から1個のマス目を切り取ったものは,すべてI字型トロミノ
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で覆いつくすことができるか?
(A)8×8の格子盤を3色で塗る分けると,赤マズ22個,白マス21個,青マス21個個ある.したがって,対称性を考えると(3,3),(3,6),(6,3),(6,6)の4つのいずれかを切り取ったときにだけ,覆いつくすことができる.それに対して,L字型トロミノの場合はどのマスを切り取っても覆いつくすことができるというわけである.
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