■置換多面体の空間充填性(その35)
2^n+2n胞体は切頂型なので,切頂点周囲に集まるn−1胞体の数を求めたい.そのためには,原正多胞体の0次元面とn−1次元面を求められればよいことになる.前者は面数公式から,後者はその反転公式から求められると思う.
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【1】面数公式
n次元正単体,正軸体,蝶立方体のk次元胞の数を表す公式は古くから知られており,Coxeter, Regular Polytopesにも表がついています.
[1]n次元正単体は(n+1)個の点からなる完全グラフとみなすことができ,k次元胞の数は(n+1,k+1)です.
[2]n次元正軸体については,母関数が
Σfkx^k={(1+2x)^n−1}/x
という形になります.すなわち,fk=2^(k+1)(n,k+1)です.
[3]n次元超立方体はこの双対で,母関数が
Σfkx^k=(2+x)^n
という形になります.すなわち,fk=2^(n-k)(n,k)です.
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【2】反転公式
目的の点(点あるいは辺の中点)に隣接する胞の数も,2項係数を活用して求めることができると思われる.
[1]n次元正単体において,k次元胞に接する(それを含む)m次元胞(m>k)は,双対を考えて,n−k次元胞内のn−m次元胞と同数,
(n−k,n−m)
です.
なお,m<kのときは,k次元正単体の含むm次元胞の数は
(k+1,m+1)
個になります.
nが小さい例で検してみると
[a]n=3,k=0,m=1→(3,2)=3 (OK)
[b]n=3,k=0,m=2→(3,1)=3 (OK)
[c]n=3,k=1,m=2→(2,1)=2 (OK)
[d]k=n−2,m=n−1→(2,1)=2 (OK)
[2]n次元正軸体において,k次元胞に接する(それを含む)m次元胞(m>k)は,2項係数を使って,
2^m-k(n−1−k,m−k)
です.
nが小さい例で検してみると
[a]n=3,k=0,m=1→2(2,1)=4 (OK)
[b]n=3,k=0,m=2→4(2,2)=4 (OK)
[c]n=3,k=1,m=2→2(1,1)=2 (OK)
[d]k=n−2,m=n−1→2(1,1)=2 (OK)
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【3】2次元{4}(10)
tp=0として,(n+1,k+1)のn←tp,k←0を代入すると
(tp+1,1)=tp+1=1
しかし,これはn−1次元面ではないので例外的に扱かったほうがいいかもしれない.
fp=0として,2^m-k(n−1−k,m−k)のk←fp,m←n−1を代入すると
2^n-1-fp(n−1−fp,n−1−fp)=2^n-1-fp
n=2より2となる.
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【4】3次元{34}(110)
tp=0として,(n+1,k+1)のn←tp,k←0を代入すると
(tp+1,1)=tp+1=1
fp=1として,2^m-k(n−1−k,m−k)のk←fp,m←n−1を代入すると
2^n-1-fp(n−1−fp,n−1−fp)=2^n-1-fp
n=3より2となる.
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【5】4次元{334}(0100)
tp=1として,(n+1,k+1)のn←tp,k←0を代入すると
(tp+1,1)=tp+1=2
fp=1として,2^m-k(n−1−k,m−k)のk←fp,m←n−1を代入すると
2^n-1-fp(n−1−fp,n−1−fp)=2^n-1-fp
n=4より4となる.
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【6】まとめ
[1]奇数次元
tp+1+2^n-1-fp,fp=tp+1より,tp+1+2^n-tp-2
それに1を加えると,tp+2+2^n-tp-2
[2]偶数次元
tp+1+2^n-1-fp,fp=tpより,tp+1+2^n-tp-1
それに2を加えると,tp+3+2^n-tp-1
n=2のときは例外であって,tp+2+2^n-tp-1
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