■黄金比と白銀比(その2)

  1,1,2,3,5,8,13,21,・・・

はフィボナッチ数列(an=an-1+an-2)と呼ばれます.フィボナッチ数列の項比は

  φ=(1+√5)/2

にどんどん近づいていくことはよく知られていますが,√2に収束する数列とは?

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 素数が無限に存在すること・√2が無理数であることは,ギリシア数学のなかでも有名な定理です.それぞれユークリッドとピタゴラスが背理法を用いて証明しています.

 √2は2つの整数の比p/qではないので,√2=p/qすなわちp^2=2q^2になるような2つの整数p,qを見つけることはできません.しかし,誤差±1を許すことにすると

  2q^2=p^2±1  (ペル方程式)

なる2つの整数p,qを見つけることができます.

  2^2+2^2=3^2−1

  5^2+5^2=7^2+1

  12^2+12^2=17^2−1

  ・・・・・・・・・・・・・

このとき,±1は交互に繰り返し現れます.

 √2=a/b,すなわち,a^2=2b^2であれば√2そのものになりますが,これを満たす整数はありません.そこで,

  a^2−2b^2=±1

を満たす整数を考えます.

 (a,b)=(3,2)が最小解ですが,以後(7,5),(17,12),・・・と続きます.この数列のある項をa/bとすれば,次の項は

  (a+2b)/(a+b)

となり,(a,b)=(3,2),(7,5),(17,12),(41,29),(99,70),(239,169)・・・と続いていきます.

 このような分数を全部求めるには1/1から出発して1+1=2が次の分母になり,1+2=3が次の分子になる,3+2=5が第3の分母,2+5=7が第3の分子になって,同様に続いていくという算術的な規則があります.

 1/1↓ ↑3/2↓ ↑7/5↓ ↑17/12↓ ↑41/29↓ ・・・

 √2の最良近似値は1/1,3/2,7/5,17/12,41/29,・・・です.このような分数を全部求めるには1/1から出発して1+1=2が次の分母になり,1+2=3が次の分子になる,3+2=5が第3の分母,2+5=7が第3の分子になる,すなわち,1つ前の分数の分子と分母の和が次の分母になり,ひとつ前の分数の分母を2倍したものとその分子の和が次の分子になり,同様に続いていくという算術的な規則があります.

  1,2,5,12,29,70,169,408,・・・

はペル数列(an=2an-1+an-2)と呼ばれます.

 なお,フェルマー・ワイルスの定理より

  x^n+y^n=z^n

に整数解が存在するのは,n=1と2の場合だけです.したがって,a^3+b^3=c^3になるような3つの整数a,b,cを見つけることはできませんが,誤差±1を許すことにすると

  6^3+8^3=9^3−1

のようにぎりぎりこれに近い式を見つけることができます.

 (6,8,9)x^3+y^3=z^3をほぼ満たすのですが,厳密には等しくなる整数を見つけることはできないというわけです.

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