■黄金比と白銀比(その1)
1辺の長さが1の正多角形を考える.正三角形は対角線をもたないが,正六角形には長さ√3と2の2種類の対角線がある.対角線の長さが1種類なのは正方形の√2と正五角形の(1+√5)/2に限られる(もうひとつの正方形と正五角形の特殊性).
√2とφ=(1+√5)/2は1辺と対角線の長さの比である特別な値であって,それぞれ白銀比,黄金比と呼ばれている.つぎに縦横比が白銀比,黄金比の長方形を考える.
白銀長方形を長辺を2等分するように2つ折りにすると,一回り小さな白銀長方形が現れる.このことから白銀長方形は紙のサイズの規格になっている.また,白銀長方形から正方形を取り除くと,残りの長方形からは正方形を2個取り除くことができる.このような2個の正方形を取り除くプロセスは永遠に繰り返すことができる.
一方,黄金長方形から正方形を取り除くと一回り小さな黄金長方形が現れてくる.黄金長方形から正方形を取り除くと,残りの長方形からは正方形を1個取り除くことができる.黄金長方形も自己再現型図形としてよく知られている.
この操作は無限に続けることができるが,このことは黄金比,白銀比がそれぞれ,無限級数
1+1/φ+1/φ^2+1/φ^3+1/φ^4+・・・=φ^2
1+1/2+1/2^2+1/2^3+1/2^4+・・・=2
無限連分数
φ=[1:1,1,1,,1,・・・]
√2=[1:2,2,2,2,・・・]
で表されることと同義である.
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[補]わが国の仏教寺院建築,たとえば大和の法隆寺は白銀比長方形の区画の上に建てられている.函館戦争で榎本武揚が立てこもった五稜郭には黄金比がみられるが,古代エジプトのピラミッドの底面の1辺の長さと高さの比や古代ギリシャのパルテノン神殿の外形にも黄金長方形が使われていることが知られている.
正六角形の場合,辺と対角線の長さの比は1:√3,1:2となる.1:2はドミノや日本の畳の形であるが,細長すぎて安定しない形といえるかもしれない.1:√3には白金比という呼び名もあるらしい.
1+1/3+1/3^2+1/3^3+1/3^4+・・・=3/2
√3=[1:1,2,1,2,・・・]
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