■多面体巡礼の双対問題(その11)
相貫円柱で思い出したのが和算の「十字環問題」である.十字環とは十字に交わった円柱が円環体(トーラス)と組み合わされた図形である.円柱と円環体の直径は等しい.この立体の体積を求めよという問題である.
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【1】十字環問題
2本の円柱が直角に交わっているとき,共通部分の体積は,円柱の直径をdとすると
2/3・d^3
となる.
また,円環体の外径をDとすると,円環体の体積は
π^2d^2(D−d)/4
難問は円柱と円環体の交差部分である.この問題では円柱を山形に切った図形がでてくるが,この図形は三方向から見て,○△□に見える図形は何か?という問題の答えでもある.答えは○△□の平面を組み合わせればよい.それに肉付けした図形,したがって,円柱を山形に切った図形も答えとなる.
これ以降の計算は
[参]小寺裕「関孝和・算聖の数学思潮」現代数学社
を参照されたい.「十字環問題」が和算発展の原動力になったのは「十字環」が薩摩島津藩の紋様(現代でいえば島津製作所のロゴマーク)であったためなのだろうか?
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