■単純リー環を使った面数数え上げ(その184)
【1】正多面体群
正多面体の回転を考えると,正4面体(位数12)では4つの頂点の偶置換を引き起こすので4次交代群A4と同型,正8面体(位数24)では対面する面は4組あり,これらの組の置換を引き起こすので4次対称群S4と同型,正20面体(位数60)では30個の辺を5組に分ける偶置換として作用するので5次交代群A5と同型になります.正多面体の回転群は3次の特殊直交群SO(3)の有限部分群です.
3次元空間の回転群には,この他に2種類の有限部分群,正n角錐のもつ巡回群Cnと正n角柱のもつ二面体群Dnがあります.クラインは,平面内での正n角形を,球の赤道に内接する正n角形の各頂点と北極・南極を結んでできる多面体を上下から赤道面に押しつぶしてできる体積が0の正凸面体と考え,この群を正2面体群と命名しました.2面体群とは,正n角形を回転してもとの正n角形に重ねる巡回群に対し,折り返しも用いてもとの正n角形に重ねる変換すべてを含む群となります.すなわち,桜の花はC5,雪の結晶はD6というわけです.
以上をまとめると,SO(3)の有限回転群は,
(1)巡回群(Cn:位数n)
(2)正2面体群(Dn:位数2n)
(3)4次交代群(A4:位数12)←→正4面体群と同型
(4)4次対称群(S4:位数24)←→正6(8)面体群と同型
(5)5次交代群(A5:位数60)←→正12(20)面体群と同型
のいずれかであることになります.
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