■連続数のヘロン三角形問題(その2)
[Q]底辺の長さが52,底辺でない2辺の長さが51と53の三角形がある.三角形の高さを求めよ.
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直角三角形では,斜辺をc,他の二辺をa,bとすると,ピタゴラスの定理「a^2+b^2=c^2」が成り立つことはよく知られています.特に,三辺の長さが整数である直角三角形をピタゴラス三角形といいます.3元2次の不定方程式a^2+b^2=c^2の整数解を求める問題をピタゴラスの問題といいますが,(a,b,c)=(3,4,5),(5,12,13),(8,15,17),・・・などがその解です.
ピタゴラス三角形は無限にあり,その一般形にはいくつかの変形がありますが,m,nを整数,kを相似係数として
a=k(m^2−n^2),b=2kmn,c=k(m^2+n^2)
が形も簡単で広く用いられています.
{(n^2−1)/2}^2+n^2={(n^2+1)/2}^2
(n^2−1)^2+(2n)^2=(n^2+1)^2
のように文字を一つだけ使ったのでは,ピタゴラス三角形全部をもれなく表す公式は作れませんが,二つの文字を使った公式
(m^2−n^2)^2+(2mn)^2=(m^2+n^2)^2
では全部を表すことができます.逆に,この式から4より大きい平方数は常に2つの自然数の平方の差として表されることがわかります.
4000年も前の紀元前二千年頃に,エジプトでは(a,b,c)=(3,4,5),(5,12,13),(8,15,17)などのピタゴラス三角形が知られていたことがパピルスに記録されています.また,同じ頃のバビロニアの粘土板プリンプトン322にはピタゴラスの定理が成り立つような3数の組が15組刻まれているのですが,その中のきわめつけが(12709,13500,18541)です.この数値は試行錯誤で得られるような代物ではなく,バビロニア人たちはすでに一般的なピタゴラスの定理を知っていたのではないかと想像されます.
ピタゴラス三角形とよく似た三角形に三辺の長さが整数であって,二辺a,bのあいだの角が120°である鈍角三角形があります.一松信先生はこの三角形をアイゼンシュタイン三角形と呼んでいますが,この三角形はピタゴラスの定理の拡張である余弦定理c^2=a^2+b^2−2ab・cosCより,
a^2+ab+b^2=c^2
を満たします.この一般解は
a=k(m^2−n^2),b=k(2mn+n^2),c=k(m^2+mn+n^2)
と表現でき,(a,b,c)=(3,5,7),(7,8,13),(5,16,19),・・・など無限に存在します.ディオファントスはa^2+ab+b^2=c^2を満たすa,b,cをとり,(m,n)=(c,a),(c,b),(c,a+b)の三組からは同一面積(a+b)abcの直角三角形ができることを示しています.
また,任意のピタゴラス三角形(a,b,c)からただちに自然数の逆数を三辺とする直角三角形(x,y,z)をつくることができます.実際,1/a^2b^2=1/b^2c^2+1/c^2a^2が得られますから,x=1/bc,y=1/ca,z=1/abとすれば(x,y,z)がそのような直角三角形になり,たとえば,(3,4,5)からは(1/15,1/20,1/12)が得られます.なお,1/a^2+1/b^2=1/c^2を満足させる恒等式は,
a=k(m^4−n^4),b=2kmn(m^2+n^2),c=2kmn(m^2−n^2)
で与えられます.
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