■置換多面体の空間充填性(その20)
空間充填2^n+2n胞体では外接球を使って議論したが,簡単に計算できる部分とnの平方数分割
n=n1^2+n2^2+n3^2+・・・
が関係する部分があって,一般化するにはなかなか難しい.
一般化できる部分についてまとめておくと,n=2k(偶数)あるいは2k+1(奇数)として
Σ2^j(k,j)^2 j=0〜k
で表される.
これは簡単な形で表現できるだろうか?(それにしても,当初の予想(その11−12)とは大きくかけ離れてしまった.)
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【1】ラグランジュの定理
整数の平方
0,1,4,9,16,25,・・・
は非常にまばらにしか存在しません.しかし,2つの平方数の和の形で表される整数はより頻繁に現れます.
1=1^2+0^2
2=1^2+1^2
4=2^2+0^2
5=2^2+1^2
8=2^2+2^2
9=3^2+0^2
10=3^2+1^2
しかし,3,6,7,・・・といった整数は,2つの平方の和では書けません.
3つの平方和となると,いくつかの間隙を埋めてくれるのですが,それでも,なおすべての正の整数を得ることはできません.たとえば,7は3つの平方数の和で書けないのです.
3=1^2+1^2+1^2
6=2^2+1^2+1^2
「すべての正の整数は4個の整数の平方和で表される」
というのが,ラグランジュの定理なのですが,驚くべきことに,7のみならず任意の自然数はたった4つの平方数の和の形に表せるのです.
7=2^2+1^2+1^2+1^2
2=1^2+1^2+0^2+0^2
このことを,シンボリックに書くと
n=□+□+□+□
となります.□は平方数の意味です.
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ところで,
Π(1-q^n)=Σ(-1)^mq^(m(3m-1)/2))
は,オイラーが分割関数p(n)の研究中に発見した関数等式です(1750年).この等式もオイラー積のように「無限積=無限和」型の等式ですが,左辺は整数のk個の平方数の和への分割問題(nが平方和として何通りに書けるか)
n=□1+□2+・・・+□k
に結びつく母関数で,それを展開すると右辺が得られるというわけです.
オイラーは4平方和定理
「すべての正の整数は4個の整数の平方和で表される」
を証明するために,級数1+2Σx^(n^2)を考察しているのですが,このアイディアは,nの分割がnをk個の平方数の和への分割(nが平方和として何通りに書けるか):
n=□1+□2+・・・+□k
として表した場合の解と1対1に対応することに拠っています.
4=(±1)^2+(±1)^2+(±1)^2+(±1)^2 16通り
4=(±2)^2+0^2+0^2+0^2 +8通り
のように,4個の平方数による分割
n=x1^2+x2^2+x3^2+x4^2
の解の個数をR(n)で表せば,1829年,ヤコビは
R(n)= 8Σ(2d+1) n≡1(mod 2)
R(n)=24Σ(2d+1) n≡0(mod 2)
Σは(2d+1)|nをわたる
を示しました.
この出発点となった考え方は,
{Σq^(n^2)}^4=ΣR(n)q^n
=1+8nq^n/(1-q^n)
の2つの表現のq^nの係数を比較することであって,Σq^(n^2)はテータ関数です.R(n)を求めるのにヤコビはテータ関数を用いたのですが,それ以来,モジュラー形式などの解析的理論が数論へ応用されるようになり,ヤコビは2,4,6,8個の平方の和に分解する仕方の数,エルミートは3,5個の平方の和に分解する仕方の数を得ています.
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