■置換多面体の空間充填性(その6)
平面上に配置した格子点の最近接点間距離が最大値をとるときは,点の配置が正三角形の頂点に等間隔に配置するときであり,空間中の点については,点の配置が立方格子の格子線の交角を60°になるようにゆがめたときであった.
詳細は,コラム「極大格子群とルート系」を参照願いたいのであるが,その際,グラミアンは
G=(d^2/2)^2|2 1|
|1 2|
|2 1 0|
G=(d^2/2)^3|1 2 1|
|0 1 2|
として得ることができた.
そこで,2次元,3次元の場合と同様に,n次元に拡張したグラミアン
|2 1 ・・ 0|
G=(d^2/2)^n|1 2 ・・ 0|=1=V^2
|0 1 ・・ 1|
|0 0 ・・ 2|
より,格子点間距離dを求めてみることにするが,
|2 1 ・・ 0|
|1 2 ・・ 0|=1+n
|0 1 ・・ 1|
|0 0 ・・ 2|
と計算され,
G=(d^2/2)^n(1+n)=1=V^2
d^2n=2^n/(1+n)
と表されることがわかった.
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[補]固有値の幾何学的意味
|2 1 1| |2 1 0|
|1 2 1|=|1 2 1|=4
|1 1 2| |0 1 2|
|2 1 ・・ 1| |2 1 ・・ 0|
|1 2 ・・ 1| |1 2 ・・ 0|
|1 1 ・・・1|=|0 1 ・・ 0|=1+n
|1 1 ・・ 1| |0 0 ・・ 1|
|1 1 ・・ 2| |0 0 ・・ 2|
固有多項式の根と係数の関係より,トレース(対角線の項の和)=固有値の総和が成り立つ.トレースは全固有値の和であり,行列式は全固有値の積ある.
ところで,固有値は幾何学的に何に対応しているのであろうか? →単位キューブを線型写像で変換したときの各辺の長さと思えばよい.なぜなら,写像:y=Axによって,単位直方体は平行2n面体に写像されるものとすると,この写像のヤコビアンはJ=|A|となる.
また,グラミアン
G=|A|^2
が成立する.したがって,平行2n面体のn次元体積は
|G|^(1/2)=|A|
で与えられる.すなわち,行列式=体積=固有値の積であって,行列式はn本のベクトルで張られる平行2n面体の体積となることが分かる.
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