■リー・ヤンの円定理(その2)
リーとヤンは統計力学のある問題に取り組んでいたとき,ある多項式
P(z)=Σajz^j
の根がずべて|z|=1上に載っていることに気づいた.
この問題はP(z)を特性多項式としてもつユニタリ行列が見つかりさえすれば証明できる.
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【1】浅野(太郎)の縮約法
m次多項式:P(z)=Σajz^jをm変数の各変数の次数が1である多項式Q(z1,・・・zm)で置き換える.|z1|<1,・・・,|zm|<1であれば常にQ≠0が成り立つような類をRとする.
QがRのなかにあれば,Pの根は|ξ|≧1を満足する.さらに,この統計力学の問題ではz→1/zという対称性があるので,|ξ|=1を満足する.また,Q1とQ2がRのなかにあれば,Q1Q2もRに含まれる.
A,B,C,Dを変数zj,zkを除いた多項式とする.
Q(z1,・・・zm)=Azjzk+Bzj+Czk+D
と書く.
このとき,浅野の縮約法により,
Azjzk+Bzj+Czk+D→Azjk+D
に置き換えることができる.すまらm変数多項式がm−1変数多項式が得られたことになる.Qが類Rに属していれば,この多項式もRに属している.
2変数多項式で
zjzk+ajk(zj+zk)+1
の形をしたものは,ajkが実数で|ajk|≦1ならがRに属することが確かめられる.この多項式を0とおくと写像zj→zkがうまれるが、これは円の中を円の外に移す.
このような多項式の積を作って浅野の縮約法を施し,すべての変数をzとすれば,リー・ヤンの円定理
P(z)=z^|x|ΠΠajk,ajk=akj,|ajk|≦1の根はずべて,単位円|z|=1上にある
が得られる.
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