■四元数体と3次元の回転(その7)
(その6)を補足しておきたい.
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フィボナッチの等式としてよく知られている2乗2平方恒等式
(a^2+b^2)(c^2+d^2)=(ac−bd)^2+(ad+bc)^2
は一般に2通りに表せる.
(a^2+b^2)(c^2+d^2)=(ac−bd)^2+(ad+bc)^2
(a^2+b^2)(c^2+d^2)=(ac+bd)^2+(ad−bc)^2
a=2,b=5,c=1,d=3とすると
290=17^2+1^2=13^2+11^2
a=1,b=4,c=1,d=4とすると,それぞれ,
17=15^2+8^2
17=17^2+0^2
今度はz=m^2+n^2として
(a^2+b^2)(c^2+d^2)=(ac−bd)^2+(ad+bc)^2
を適用すると
z^2=(m^2+n^2)(m^2+n^2)=(m^2−n^2)^2+(mn+mn)^2
つまり,
(m^2+n^2)^2=(m^2−n^2)^2+(2mn)^2
となって,バビロニア人たちはすでに一般的なピタゴラスの定理を知っていたのではないかと想像されます.
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ピタゴラス三角形は無限にあり、その一般形にはいくつかの変形がありますが,m,nを整数,kを相似係数として
a=k(m^2−n^2),b=2kmn,c=k(m^2+n^2)
が形も簡単で広く用いられています.
{(n^2−1)/2}^2+n^2={(n^2+1)/2}^2
(n^2−1)^2+(2n)^2=(n^2+1)^2
のように文字を一つだけ使ったのでは,ピタゴラス三角形全部をもれなく表す公式は作れませんが,二つの文字を使った公式
(m^2−n^2)^2+(2mn)^2=(m^2+n^2)^2
では全部を表すことができます.逆に,この式から4より大きい平方数は常に2つの自然数の平方の差として表されることがわかります.
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