■四元数体と3次元の回転(その6)

 (その5)では正四面体の対称性と正24胞体の関係を述べた.

  [参]のんびり数学研究会「ガロアに出会う」数学書房

では4次対称群S4の元を正四面体の図形的な動きとしてすべて描きだされている.

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 ところで,フィボナッチの等式としてよく知られている2乗2平方恒等式

  (a^2+b^2)(c^2+d^2)=(ac−bd)^2+(ad+bc)^2

とオイラーの公式(2乗4平方恒等式)

  (a^2+b^2+c^2+d^2)(p^2+q^2+r^2+s^2)=x^2+y^2+z^2+w^2

x=ap+bq+cr+ds,

y=aq−bp+cs−dr,

z=ar−bs−cp+dq,

w=as+br−cq−dp

の恒等式の対比もおもしろいものがある.

 前者は一般に2通りに表せる.

  (a^2+b^2)(c^2+d^2)=(ac−bd)^2+(ad+bc)^2

  (a^2+b^2)(c^2+d^2)=(ac+bd)^2+(ad−bc)^2

 a=3,b=2,c=2,d=1とすると

  65=7^2+4^2=8^2+1^2

文字の変換(c←→d)あるいは符号の変換(d→−d)による変形であるが,

後者にもいくつかの変形が得られる(±p←→±q←→±r←→±sの8通り?).

 (x+y)^2と(x−y)^2の展開のように,真ん中の項は±abcdとなって消えてしまい,残った4項が左辺のように因数分解されるのであるが,後者でも24項が相殺され,残った16項が左辺のように因数分解されるのである.

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 直角三角形では,斜辺をc,他の二辺をa,bとすると,ピタゴラスの定理「a^2+b^2=c^2」が成り立つことはよく知られています.特に,三辺の長さが整数である直角三角形をピタゴラス三角形といいます.3元2次の不定方程式a^2+b^2=c^2の整数解を求める問題をピタゴラスの問題といいますが,(a,b,c)=(3,4,5),(5,12,13),(8,15,17),・・・などがその解です.

 4000年も前の紀元前二千年頃に,エジプトでは(a,b,c)=(3,4,5),(5,12,13),(8,15,17)などのピタゴラス三角形が知られていたことがパピルスに記録されています.また,同じ頃のバビロニアの粘土板プリンプトン322にはピタゴラスの定理が成り立つような3数の組が15組刻まれているのですが,その中のきわめつけが(12709,13500,18541)です.この数値は試行錯誤で得られるような代物ではなく,バビロニア人たちはすでに一般的なピタゴラスの定理を知っていたのではないかと想像されます.(プリンプトン322にある15組の直角三角形では,斜辺の傾きが30°〜45°の間にほぼ稠密に分布しているという.)

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