■サッカーボールの体積
切頂四面体は正四面体の辺を3等分して,その点を通るように4個の角を切頂した正三角形と正六角形で囲まれた図形である.その形は海岸線で波消しブロックとして使われているテトラポッドによく似ている.まず,切頂四面体の体積を求めてみたい.
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【1】切頂四面体の体積
切頂四面体ともとの正四面体と体積比は
1−4/27:1=23:27
正四面体の辺の長さを1とすると,正四面体の体積は1/6√2であるから,切頂四面体の体積は
1/6√2・23/27
辺の長さを1に規格化すると
1/6√2・23/27・27=23√2/12
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【2】切頂20面体の体積
正20面体の各辺を3等分したところで切頂すると,正五角形と正六角形で囲まれた図形ができる.これがサッカーボールであるが,その体積を求めてみよう.
必要ならば1辺の長さ1の体積
正20面体:5τ^2/6=(15+5√5)/12
正12面体:τ^4√5/2=(15+7√5)/4
を既知としてもよい.
正20面体が正12面体の正五角形面の上に五角錐を載せたものであれば計算は簡単であるが,そううまくはいかないものである.そこで,奥の手をだそう.
コラム「単純リー環を使った面数数え上げ(その142)」のように,正20面体の場合,p=3,q=5,h=10を代入すると
P0(0,0,0)
P1(1,0,0)
P2(1,√(1/3),0)
P3(1,√(1/3),(√5+1)/√3(√5−1))
となって,
P0(0,0,0)
P1(1,0,0)
P2(1,tanθ,0)=(1,√(1/3),0)
P3(1,tanθ,τ^2/2cosθ)=(1,√(1/3),τ^2/√3)
と一致する.
a1=1,a2=√(1/3),a3=τ^2/√3
サッカーボールは,正20面体系{3,5}(110)であるから,
xj/aj=yj,y0=1,yn=0(xn=0)
とおく.
(yj-1−yj)/(1/aj-1^2+1/aj^2)^1/2=(yj−yj+1)/(1/aj^2+1/aj+1^2)^1/2
を計算して
1−y1=(y1−y2)/√4=L
(y2−y3)/√(3+3/τ^4)=0→y2=y3=0,y1=2/3(辺の三等分点),L=1/3
PnP0に垂直なn次元超平面が点Qを通るのだが,原点をPnに移した方が紛らわしくないので
a=(−a1,−a2,・・・,−an)
q=(x1−a1,x2−a2,x3−a3,・・・,xn−an)
とすると,この超平面をa・(x−q)=0,a・x=a・q=cで表すと
c0=−(a1x1+・・・+anxn)+(a1^2+・・・+an^2)
c0=−(a1^2y1+・・・+an^2yn)+(a1^2+・・・+an^2)
h0=|c0|/‖d0‖,‖d0‖=(a1^2+・・・+an^2)^1/2
c0=a1^2+a2^2+a3^2−a1^2y1=1+1/3+τ^4/3−2/3
d0=(1+1/3+τ^4/3)^1/2=(4/3+τ^4/3)^1/2
h0=(2+τ^4)/3・√{3/(4+τ^4)}
辺の長さを1に規格化する.辺の長さは2L.したがって,
Hk=hk/2L→H0=(2+τ^4)/2・√{3/(4+τ^4)}
H0=(2+τ^4)/2√(τ√5)
PnPn-1に垂直なn次元超平面では
a=(0,・・・,0,−an)
cn-1=−anxn+an^2=−an^2yn+an^2
hn-1=|cn-1|/‖dn-1‖,‖dn-1‖=(an^2)^1/2
an^2yn=0
→h2=a3=τ^2/√3,H2=h2/2L=τ^2√3/2
また,
→V2=1/2・tan54°×5/2={(5+2√5)/5}^1/2・5/4(正五角形の面積)
→Λ2=3√3/2(正六角形の面積)
V=(N0・V2・H0+N2・Λ2・H2)/3
={12・5{(5+2√5)/5}^1/2/4・(2+τ^4)/2√(τ√5)+20・3√3/2・τ^2√3/2}/3
=5/2・τ/√5・(2+τ^4)+15τ^2
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なお,
[1]中心から正五角形面までの距離
H0=(2+τ^4)/2√(τ√5)=2.32744
[2]中心から正六角形面までの距離
H2=τ^2√3/2=2.26728
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