■スタインバーグの公式
コラム「単純リー環を使った面数数え上げ」シリーズ(その139)以降,
h=24/(10−p−q)−2 (スタインバーグの公式)
を用いましたが,ここでは格子状最密球充填に関するスタインバーグの公式を紹介します.
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n次元球のkissing numberの上界は立体角による評価,すなわち,正四面体配置(相互に接するよう球を配置)の問題でしたが,それに対して,下界は極大格子状配置による評価,すなわち,
A1,A2,A3,D4,D5,E6,E7,E8
の問題となります.
たとえば,n=3のみならず,n=4,5の場合も面心立方格子状配置
(±1,±1,0)
(±1,±1,0,0)
(±1,±1,0,0,0) (±1の個数は2つ)
では2n(n−1)個の球と接することができます.
n=6,7,8では面心立方格子状配置の接触点以外にも隙間ができるので,隙間の分が加わって,それぞれ
60+12=72
84+42=126
112+128=240
個の同じ大きさの球が詰め込み可能になります.(E6,E7,E8格子はそれぞれ接触数72,126,240を与える.)
この隙間は,9個の整数に対して法3で合同となるので,
x1+x2+x3=x4+x5+x6=x7+x8+x9=0 (n=6)
x1+x2+x3+x4+x5+x6=x7+x8+x9=0 (n=7)
x1+x2+x3+x4+x5+x6+x7+x8+x9=0 (n=8)
であって,
12×3=42,42×3=128
という関係にあり,E8では9個の球によって完全に充填した構造となっています.
第1層 第2層 第3層
E6 格子 72 270 720
E7 格子 126 756 2072
E8 格子 240 2160 6720
そして,最終的には簡単なグラフ的算法に帰着されるのですが,1≦n≦8では
n 1 2 3 4 5 6 7 8
下界 2 6 12 24 40 72 126 240
となり,ガウス記号を用いて
下界=n([2^(n-2)/3]+n+1)
の形にまとめられます.→(この式はn>8に対しては成り立ちません.n=9のとき468となるのですが,コクセターの上界401よりも大きくなってしまうからです.)
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