■n次元準正多面体のk次元面数について(その1)
オイラーの多面体公式を学ぶシーンでは,まず,多面体の頂点数,辺数,面数を数え上げることになる.実際にやってみると,小中学生あるいは高校生であっても「あれ,この辺,数えたっけ?」ということになり,なかなか空欄は埋まらない.
3次元の場合でも正20面体くらいになると誤答が続出する.その結果,
v−e+f=2
にはなかなかたどり着けないのである.
ところで,3次元では実際に数えることもできるが,4次元以上ともなるとみることも数えることもできないし,直観も効かなくなる.ではどうするか?
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通信理論などへの応用を想定して,ここではn次元準正多面体のk次元面数を求めよという問題を考えてみたい.
たとえば,石井源久さんによって描かれた高次元準正多面体のCGをひとつみてほしい.コンピュータを使った総当たり的な手法で求めると,計算量の膨大さから6次元くらいまでが限界である.それが如何に難しい問題であるかわかるだろう.
しかしながら,一般的な公式が存在するか,または,適切な解の有限集合からすべての解を導くプロセスが存在するはずであることは確信できる.
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そこで,手計算でもできるように方針を変更する. これから答えを記すが,多くの読者にとってかなり意外なものであろうと思う.
[1]多面体に遺伝子を導入する.
DNAは4つの塩基(A・C・G・T)をもっていて,たとえば,
TGTGTGAACCCCTTGCCAAA・・・
のように並んでいる.あるものはアミノ酸と対応し,あるものは翻訳の開始と停止をコードする.
無生物である多面体にもDNAを導入する.それはワイソフ情報と呼ばれる0/1からなるn桁の数字の並びである.この情報をDNAのように解読できれば多面体の面数公式が得られるに違いない・・・.
[2]遺伝子コードを解読する.
面数数え上げのアルゴリズムが存在するに違いない.しかし,言うは易く,実際の作業となると困難を極めることになった.
[3]数え上げアルゴリズムを鑑賞する.
完成したあとからながめてみると,小学生が解いたとしてもおかしくない初等的な方法を素朴に高次元に敷衍しただけになっていることが実におもしろい.
たとえば,切頂八面体の頂点数,辺数,面数を3通りの方法で数え上げることができれば,高次元の多面体の場合もうまく行くのである.結局うわべの難しさに怖じ気づいていただけなのである.真理とは案外そういうものなのかもしれない.
いわく「多面体はDNAをもっている」
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