■最小面数の正多面体元素定理(その3)

[Q]正多面体の元素の総面数の最小数はいくつになるだろうか?

[A]正多面体の元素数は4であるという正多面体元素定理において,4種類ともで四面体の構成できれば,元素の最小面数は16であるという自明な下限が存在する.いわば下限付き幾何であるが,各正多面体には

[1]基本単体と呼ばれる四面体(A,B,C,D,E)から構成される(A24,B48,C48,D120,E120)

[2]正四面体の元素Aと正八面体の元素Bを使って立方体を構成できる

ことから.この段階で元素の最小面数16のもの(A,B,D,E)が構成できたことになる.

 このことは立方体から直角三角錐を4個取り除くと正四面体ができることから予想されることであるが,果たしてもそうなったのである.

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 数学的にはそれでよいかもしれないが,木工製作する立場上はそれでは必要となる原料が多すぎて,コストパフォーマンスが悪い.そこで,元素相互の入れ子構造を考えることになる.

[1]正20面体の基本単体Cのなかに正12面体の基本単体Aを入れ込むことができるが,その逆も可能である.

[2]正20面体の基本単体Cのなかに正八面体の基本単体B,正八面体の基本単体Bのなかに正四面体の基本単体Aを入れ込むことができができる.逆は不可.

であることから,

[a]正四面体の基本単体

[b]正八面体の基本単体

[c]正20面体の基本単体−正四面体の基本単体を差し引いた残り

[d]正20面体の基本単体−正八面体の基本単体を差し引いた残り

とすると,4ピースの元素(a,b,c,d)で5種類の正多面体を作れる最小原料のものが構成できる.

  正四面体a24,正八面体b48,立方体a24b24

  正20面体a120c120,正12面体a120b120c120d120

 ここでa,b,cは四面体,dは五面体であるが,dのひとつの面はきわめて細長く,概四面体といってもよいほどである.元素の総面数は17になるから,ほぼ最小面数の最小原料元素なのである.

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