■最小面数の正多面体元素定理(その2)

 3次元と4次元は正多面体の元素数が減少する特殊な次元といえるが,そこには別のもっと深い幾何学的な事情がある.元素数の減少が起こる理由を述べると・・・

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 3次元では立方体から直角三角錐を4個取り除くと正四面体,4次元では正8胞体からRPを8個取り除くと16胞体になるため,元素数がひとつ減る.さらに,4次元の特殊性として192個のRPから正24胞体が構成されるため,もうひとつ元素数は減るのである.

 一方,5次元以上の空間では元素数の減少が起こらない理由を述べると,5次元以上の空間では直角三角錘2^n-1個を取り除くと正多面体にならず,1種の準正多面体になる.また,2次元では正方形から直角三角形を2個取り除くと何も残らない.これが各次元における元素定理の正体なのである.

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 3次元正多面体の元素定理でカギを握っているのが直角三角錐(RT:right tetra)であることに気づけば,任意のn次元でも直角三角錐が有用になると考えるのは自然な発想,自然な成り行きであろう.

 すなわち,n次元の直角三角錐2^n個で正2^n胞体ができる.また,この図形n!個の体積は1辺の長さ2の正2n胞体(体積:2^n)と等しくなる.正2n胞体からはこの図形を2^n-1個を取り除くことができる.

 このことの基本単体版を考えると,正四面体の基本単体と正八面体の基本単体を組み合わせると,立方体の元素ができるはずであるが,実際,そのようになったのである.しかし,正12面体と正20面体の元素は簡約できないのである.

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