■求積の多様性を考える(その11)
1辺の長さが1の平行多面体の体積は
立方体: 1
正六角柱: 3√3/2
切頂八面体: 8√2
菱形十二面体: 16√3/9
長菱形十二面体: 16√3/9+8/3
となる.
これらはミンコフスキー和,すなわち,平行多面体を平行六面体に分解してその総和を取ることで求められたものである.
ここでは,平行多面体の体積を直接求めるのではなく,格子の体積を求めることによって間接的に得る方法を紹介したい.
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面心立方格子や対心立方格子では,直交座標を基本としている.直交座標軸は空間中の点の位置を表すのに最も取り扱いが簡単である.しかし,3つベクトルa↑,b↑,c↑の選び方は一義的には決まらず,いろいろな選び方がある.
そこで,3つのベクトルをそれぞれの構造の単純並進ベクトルと呼ばれるものに採ってみる.そうすると,対心立方格子ではa=b=c,α=β=γ=109.49°,面心立方格子ではa=b=c,α=β=γ=60°の菱形体格子に変換されることになる.
格子の体積は,
|V|=|x1 y1 z1|
|x2 y2 z2|
|x3 y3 z3|
の絶対値をとることで計算される.
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切頂八面体の平行移動ベクトルは(0,0,−4),(−2,2,−2),(−2,−2,−2)にとることができるから,
|V|=| 0, 0,−4|→V=32
|−2, 2,−2|
|−2,−2,−2|
菱形十二面体の平行移動ベクトルは(−2,2,0),(−2,−2,0),(−2,0,−2)にとることができるから,
|V|=|−2, 2, 0|→V=16
|−2,−2, 0|
|−2, 0,−2|
しかし,空間充填18面体では,平行移動のほかに回転も必要になるので,この手が使えないというわけである.
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