■求積の多様性を考える(その5)

[Q]1辺の長さが√2の正四面体の体積を求めよ.

[A]正攻法(馬鹿正直)に求めてもよいが,1辺の長さが1の立方体に内接させると

  V=1−4/6=1/3

 この求め方は「半立方体」の性質を利用したものといえる.それでは

[Q]正16胞体の体積を「半立方体」の性質を利用して求めよ.

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【1】半立方体(hemicube/demihypercube)

 n次元の立方体(頂点数2^n)のひとつおきの頂点において,そこと相隣る頂点全体を通る超平面で切り落として残る図形は半立方体(hemicube)と呼ばれる.

  f0=W(Dn)/W(An-1)=2^n-1

  f1=W(Dn)/W(A1)^2W(An-31)=2^n-2(n,2)

 たまたま,3次元では正四面体,4次元では正16胞体となるが,5次元以上ではそれほど簡単な図形ではない.

[Q]5次元以上では正多面体にならないことを示せ.

[A]頂点数はf0=2^n-1であるが,5次元以上ではn+1,2n,2^nと相異なる.

 5次元の場合は,16個の正5胞体と10個の正16胞体で囲まれた立体(中心対称ではない)である.6次元になると,この図形12個と5次元の正単体32個で囲まれた図形である.

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【2】半立方体の要素数

 半立方体(n次元の超立方体において,ひとつおきの頂点(全体で2^n-1個)を結んでできる図形)の要素数を計算してみたところ,やはり,7次元までは個別にうまく計算できたものの8次元でゆきづまりました.n≧4では側面(1次元低い胞)が2種類現れて,次元を下げていってもf4以上で2種類の図形が複雑に絡み合うのが原因です.

 3次元:(f0,f1,f2)=(4,6,4)   (正四面体)

 4次元:(f0,f1,f2,f3)=(8,24,32,16)   (正16胞体)

 5次元:(f0,f1,f2,f3,f4)=(16,80,160,120,16+10)

 6次元:(f0,f1,f2,f3,f4,f5)=(32,240,640,640,192+60,32+12)

 7次元:(f0,f1,f2,f3,f4,f5,f6)=(64,672,2240,2800,1344+280,448+84,64+14)

 f2は正三角形,f3は正四面体,f4以上で2種類の形の各々の和

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[Q]1辺の長さが1の正16胞体の体積を「半立方体」の性質を利用して求めよ.

[A]1辺の長さが1の4次元立方体に内接させると

  V=1−8/4!=2/3

 4次元立方体のひとつおきの頂点

  ±(1,1,1,1)

  ±(1,1,−1,−1)

  ±(1,−1,1,−1)

  ±(1,−1,−1,1)

を結ぶと,1辺の長さ2√2の正16胞体をなす.その体積は2^8/4!.

 したがって,もとの立方体との体積比は

  (2^4−2^8/4!):2^4=2:3

になるのである.

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