■擬素数の望ましくない性質(その2)
【1】擬素数
たとえば,
n|2^n−2
において,n=5のとき2^5−2=30は5で割り切れるが,n=15のとき2^15−2=32766は15で割り切れない.
フェルマーの定理「aが素数pと公約数をもたないならば,a^p-1−1はpで割り切れる」は,記号
(a,p)=1→p|a^p-1−1
を用いて表される.
しかし,フェルマーの定理の逆は真ではない.n=341=11・31のとき,2^341−2は341で割り切れる.nが素数のときかつそのときに限って
n|2^n−2,2^n=2 (modn)
は「・・・のとき」は正しいが,「かつそのときに限って」は誤っている.
nが奇数のとき
2^n-1=1 (modn)
と書いてもよい.
2^340=1 (mod341)
であることを実際に確かめてみよう.
2^10=1024=1 (mod341)
2^340=(2^10)^34=1 (mod341)
341は2を底とする擬素数と呼ばれる.もっと一般に
a^n-1=1 (modn)
が成り立つ奇数の合成数であると定義される.
341は2を底とする最小の擬素数であるから,逆にいえば,nが341より小さい奇数のとき,nが素数でないならば2^n−2はnで割り切れないことになる.
2^340=1 (mod341)
であったが,2^170 (mod341)は+1か−1か?
2^170=(2^10)^17=1 (mod341)
それでは,2^85 (mod341)は?
2^170=2^5(2^10)^17=32 (mod341)
なお,擬素数は素数の数よりも稀であるが,にもかかわらず,無限に存在する.
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【2】カーマイケル数
フェルマーの小定理
a^p-1=1 (modn)
がpが素数卯であるための必要条件を与えるが,残念ながら十分条件にはならない.
カーマイケル数と呼ばれる多くの合成数が,
a^n-1=1 (modn)
をパスしてしまうのだ.a=3の場合,その最初のものはn=561である.
2003年,アルフォード,グランヴィル,ポメランスがそのような数は無限個あることを証明した.彼等はxを十分に大きい数とすると,x以下のカーマイケル数は少なくともx^2/7個存在することを示したのである.
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【3】分割数
ここでは,例外があるとしても極めて稀だが,完全に排除することはできないという例を掲げます.
ラマヌジャンはp(n)が満たす合同式について
p(5n+4)=0 mod5
p(7n+5)=0 mod7
p(11n+6)=0 mod11
p(599)=0 mod5^3
p(721)=0 mod11^2
を予想し,それらを証明しています.
さらに,
d=5^a7^b11^c かつ 24n=1 (mod d)
ならば,
p(n)=0 (mod d)
を予想していますが,n=243の場合,
p(243)=133978259344888
は,24・243=1 (mod 343)であるにもかかわらず,d=7^3=343では割り切れない.
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