■幾何学におけるマイ未解決問題(その16)

 平面上では距離が一意に定まる.距離空間であるためには,2点間の距離が一意に定まらなければならない.

 また,球面上だって立方体の表面上だって,距離を一意に定めることは可能であるが,距離空間が双曲的か放物的か楕円的かは三角形(3点間の距離の関係)を比較することによって決定される.

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 距離を定義できるグラフとしては,ツリーや正方格子があげられる.

[1]ツリーは2点間の距離が一意に定まるが,ループを有するグラフでは一意に定まらなくなる.

[2]正方格子では2点を定めてもその経路は一意に定まらないが,マンハッタン距離はどの経路であっても同じである.

[3]n次元立方体の頂点間のマンハッタン距離がハミング距離である.

 当初,このシリーズでは多面体の系図に対称なツリーを想定したが,それは自然な発想に思えたからである.しかし,それではうまく行かないところがでてきたため,正方格子に変更した.

 最終的には,正方格子にn次元立方体が木の枝状にぶら下がっているモデルに落ち着いた.それは[1][2][3]の単なる折衷ではなく,工作法(縮退情報)に基づいて自然に発想された系図になったと考えている.

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 いまなところ,不備な箇所は見つかっていない.秀逸なアイデアだと自己満足しても,日を改めてその問題に向き合ってみると,欠陥があることに気づく.ときには修正できることもあるが,まったく修正不能だったりもする.それが数学である.

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