■数学体験館・開設
網走にあった数学ワンダーランドが閉館されてから10年近くが経過した.その間,移転候補地として富良野や清里などが上がったが,いずれも計画途中で頓挫.やっと今月になって,東京神楽坂の東京理科大学・近代科学資料館内にオープンすることになった.
ここは私も1回だけ訪ねたことがあるが,パスカリーナなどかなり年代物の卓上計算機が展示されているほか,彫刻家・菱田為吉(日本画家・菱田春草の兄)による木製多面体彫刻もある.菱田為吉の彫刻作品は中川宏さんに多大なる影響を与え,中川宏さんはその後も木工多面体を全国の学校に無償で提供する活動を継続して行っている.
明治期,すべての学校には木工多面体が教具として置かれていたという記録は残っているが,その製作法などの資料はすべて喪失,それを現代に再現したのが中川宏さんの木工多面体である.
私に関係する展示品としては,
[1]三角形・四角形・五角形・六角形の穴をあけることができるドリル
[2]その回転を逆にした人工心臓模型・ロータリーエンジン模型
[3]立体の素と考えることができるペンタドロン
[4]平行多面体間の変身模型
[5]正多面体カッタ(発泡スチロール正多面体作製機)
[6]正多角形・正多面体の対角線図形
などがある.とくに,[3][4]については,結晶学などへの貢献が期待されるところである.
百聞は一見にしかず.いわんや数学においては・・・である.東京理科大学・近代科学資料館は(JR,東京メトロ)飯田橋駅下車,徒歩数分のところにある.入館無料.上京の際は是非立ち寄られたい.
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