■ランデン変換(その2)

 第1種楕円積分

  F(k,φ)=∫(0,φ)dθ/(1-k^2sin^2θ)^(1/2)

において,φ=π/2としたものが第1種完全楕円積分

  K(k)=F(k,π/2)

である.

 K(k)をkのベキ級数に展開した式を実際に計算してみると,収束が遅くてもどかしい.そこで,収束加速法のひとつとしてはランデン変換を導入したい.

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 まず,母数kに対して,補母数

  k’=(1−k^2)^1/2

を導入する.次に,

  k1=(1−k’)/(1+k’),k’=(1−k1)/(1+k1)

とおく.以下,k1が変換後の母数となることを示す.

 ランデン変換というのは,積分変数の変換

  sinθ1=(1+k’)sinθcosθ/(1-k^2sin^2θ)^(1/2)を行うことである.

 この式から

  cosθ1=(1−k’)sin^2θ/(1-k^2sin^2θ)^(1/2)

  (1-k’^2sin^2θ1)^(1/2)={1−(1−k’)sin^2θ}/(1-k^2sin^2θ)^(1/2)

がでてくるが,これらを組み合わせて

  tanθ1=(1+k’)sinθcosθ/{1−(1−k’)sin^2θ}

  tan(θ1−θ)=(tanθ’−tanθ)/(1+tanθ’tanθ)=k’tanθ

が得られる.これがキモである.

 微分すると

  sec^2(θ1−θ)(dθ1−dθ)=k’sec^2θdθ

  dθ1=(1+k’){1−(1−k’)sin^2θ}/(1-k^2sin^2θ)^(1/2)dθ

 結局,

  dθ1/(1-k1^2sin^2θ)^(1/2)=(1+k’)・dθ/(1-k^2sin^2θ)^(1/2)

  1+k’=2/(1+k1)

  dθ/(1-k^2sin^2θ)^(1/2)=(1+k1)/2・dθ1/(1-k1^2sin^2θ)^(1/2)

と書けることがわかる.

 すなわち,第1種楕円積分が母数の小さい同種の楕円積分に帰着されるのである.到達した漸化式は

  F(k,φ)=(1+k1)/2・F(k1,φ1)

である.

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 完全楕円積分

  K(k)=F(k,π/2)

の場合,

  φ=0→φ1=0

  φ=π/2→φ1=π

左右対称であるから

  F(k,π/2)=(1+k1)/2・F(k1,π)=(1+k1)F(k1,π/2)

 こうして,漸化式

  K(k)=(1+k1)K(k1)

が得られる.これを繰り返せば母数は急速に0に,Kはπ/2にちかづくのであるから

  K(k)=(1+k1)(1+k2)(1+k3)・・・π/2

なる無限乗積の形に書くことができるというわけである.

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