■レムニスケート積分(その25)
私は大学生のころ,阪本ひろむ氏にオマル・ハイヤームの「ルバイヤート」の存在を教えてもらった.早熟な中学生と晩生の大学生・・・
オマル・ハイヤームは詩人として知られているが卓越した数学者でもあった.もともと「ルバイヤート」はペルシャ語の4行詩と指す.邦訳としては森亮,小川亮作,陳舜臣らのものがあるらしいが,私が読んだ岩波文庫は誰の訳書だったか定かではない.
オマル・ハイヤーム以外に詩人と数学者が同一人物であるという例を私は知らないが,数学者としてのオマル・ハイヤームは3次方程式を14種類に分類し,それぞれに対して円錐曲線を用いて解を見いだす方法を与え,あらゆるタイプの3次方程式を解いたという.
幾何学的に3次方程式の解を与えることは素晴らしい成果であるが,このことが後に代数的な解を見つけることはできないだろうか?という問題意識に繋がり,ルネサンス期,イタリアの数学者たち(デル・フェッロ,タルタリア,フィオール,カルダノ,フェラーリ)が3次方程式の代数的な解を発見したことは代数学における大きなブレイクスルーであった.
また,現代のイランでは,パスカルの三角形はハイヤームの三角形と呼ばれているとのことである.
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