■3次元空間のトポロジー
ポアンカレは,3次元多様体の内部にある閉ループを連続的に変形し,1点にまで縮めることが可能なのは,3次元球面だけだろうかという問いを発した.この問題は4次元以上については肯定的に解決さたが,3次元版だけが未解決であった.
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【1】サーストン
2次元空間(曲面)のトポロジーは,ユークリッド幾何学,楕円幾何学,双曲幾何学の3種類に分類されるという視点から解釈することができる,
サーストンは「3次元多様体は8種類の幾何学構造に分解できる」という幾何化予想を定式化した.これが証明できれば,閉ループが1点に可縮という範囲を超えて,その帰結としてポアンカレ予想は直ちに導かれる.
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【2】ハミルトン
もう一つのアプローチは,ハミルトンがリーマン幾何学のほうから導いた「リッチフロー」である.リッチフローにしたがう曲面は自然に単純化し,完全な球面化が成し遂げられるのである.
ハミルトンは2次元のポアンカレ予想もリッチフローを用いて証明できることを示したが,3次元の場合は「特異点」で平坦化かできなくなってしまう.
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【3】ペレルマン
壁にぶつかってしまったが,ここでペレルマンの考えた方法は特異点に「手術」を施す方法である.こうして「3次元多様体は8種類の幾何学構造に分解できる」という幾何化予想,そしてポアンカレ予想も証明されたのであった.
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