■多角数定理(補遺)
すべての自然数はたかだかm個のm角数で表せる.
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1/2・n・{2+(m−2)(n−1)}の形の自然数をm角数といいます.すなわち,三角数とはn(n+1)/2,四角数とはn^2の形の自然数,すなわち平方数です.
ガウスは1796年の日記に「わかった! n=△+△+△」と書いていますが,それはすべての整数は3つの3角数の和によって表しうるという意味で,m=3の場合についての証明に相当します.ガウスの発見は8n+3の形をしたすべての整数を3つの奇数の平方の和として表せることを意味していて,3平方和定理「8n+7の形の自然数は3つの平方数の和では表せない」を用いるとn=△+△+△を簡単に示すことができます.
(証明)
4^k(8n+7)でない奇数は3平方和で表せますから,任意の自然数nに対して8n+3=x2 +y2 +z2 と書けます.このとき,x=2o+1,y=2p+1,z=2q+1とおくとn=o(o+1)/2+p(p+1)/2+q(q+1)/2
この定理で,m=3の場合がガウスの定理「n=△+△+△」,m=4の場合がラグランジュの定理「n=□+□+□+□」に相当します.フェルマーが遺して後世を悩ましていたこの命題は,オイラー,ラグランジュ,ルジャンドルなどの研究を経て,1813年,コーシーが証明しセンセーションを巻き起こしました.
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3角数であり平方数であるものは無限に存在します.
(証明)1/2y(y+1)=x^2,すなわち,
(2y+1)^2−2(2x)^2=1
をみたす自然数の組(x,y)が無限にあることいえばよい.
自然数an,bnを(1+√2)^n=an+bn√2によって定義すると,
an^2−2bn^2=(an+bn√2)(an−bn√2)
=(1+√2)^n(1+√2)^n=(−1)^n
また,(1+√2)^nの展開を考えると,
an=1+(偶数),bn=n+(偶数)
よって,nを偶数にとるとan^2−2bn^2=1,anは奇数,bnは偶数.
そこで,y=(an−1)/2,x=bn/2とおくと,
(2y+1)^2−2(2x)^2=1
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なお,1以外の3角数は立方数ではありません.
1/2y(y+1)=x^3は,(2y+1)^2=(2x)^3+1と書き換えられるから,楕円曲線y^2=x^3+1の整数解に関する主張だと解釈できる.実は,これには整数点は(2,±3),(0,±1),(−1,0)の5つしかありません.また,この楕円曲線には有理点もやはりこの5つしかないのです.
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