■パスカルの三角形の概3等分(その6)
【1】2(2^n−1)胞体の元素の頂点数
正単体の基本単体をn−1回切頂・切稜すると2n胞体になる.この多面体のすべての頂点を求めてみたところ,頂点数は2^n個あり,この多面体は超立方体と組み合わせ同値であることが確認された.
胞数2n,頂点数2^nの多胞体を対称超平面で切半すると,切断面はn−1次超立方体(頂点数2^n-1)と組み合わせ同値になることが予想されるが,実際に計算してみると
n 切断面 上 下 計
3 4 2 2 8
4 6 5 5 16
5 12 10 10 32
6 22 21 21 64
7 44 42 42 128
8 86 85 85 256
9 172 170 170 512
10 342 341 341 1024
となって,頂点数2^nが概3等分されていることがわかった.
2^nは3では割り切れないが,
2^n=1 (mod3)
2^n=2 (mod3)
であるから,概3等分されるのである.
n 頂点数
3 4+2=6
4 6+5=11
5 12+10=22
6 22+21=43
7 44+42=86
8 86+85=171
9 172+170=342
10 342+341=683
奇数次元→偶数次元:2倍して1引く
偶数次元→奇数次元:2倍する
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【2】2(2^n−1)胞体のブロックモデル
レンガのブロック積みを考える.3つのレンガが1点で出会うように平面を敷き詰めると,すべてのレンガは周りの6つのレンガに接することがわかる.お城の石垣でもタマネギの細胞でもこのような原則が成り立っていて,このことから平面充填図形の基本形は6角形であるといえる.6角形の1組の対辺を退化させると4角形になるが,それは6角形から2次的に派生したものと考えることができるだろう.
次に,空間分割のブロックモデルを考える.1段目を敷き詰めたあと,2段目も1段目と同じように敷き詰めるが,1段目のレンガのすべての頂点を2段目のレンガで覆うようにずらして積み重ねると,1段目のレンガの上には4つのレンガが載ることになる.3段目も同様に行うと同じ段に6,上の段に4,下の段にも4で合計14のレンガに接することになる.このことからレンガは元々14面体であって,それが普通のレンガの形に圧縮されたものと考えることができる.
このようにn次元の空間充填図形が立方体状のブロックを基にして導出されるという考え方からすれば,単体モデルは頗る意外なものであろう.「はじめに単体ありき」は答えとしてはあっているのだが,自然な発想「はじめに立方体ブロックありき」とかけ離れていて,意外すぎて(少なくとも私にとっては)心理的抵抗感が大きく,面食らうばかりである.
ブロックモデルをn次元に拡張する場合,1次元では両隣りに1個ずつ計2個,2次元では1次元の状態+上下に2個ずつ計4個,3次元では2次元の状態+上下に4個ずつ計8個が相隣る.
このことからn次元では
fn=fn-1+2^n
となることがわかる.
fn=2+2^2+・・・+2^n=2(2^n−1)
ブロックモデルの方が心理的抵抗感の少ない導入が可能と思われるが,実際,この多胞体は安定かつ面数が最大の空間充填多胞体となる.
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n 中段 上段 下段 計
2^n−2 2^n-1 2^n-1 2(2^n−1)
n 中段 上段 下段 計
3 6 4 4 14
4 14 8 8 30
5 30 16 16 62
6 62 32 32 126
7 126 64 64 254
8 254 128 128 510
9 510 256 256 1022
10 1022 512 512 2046
となって,概4等分されていることがわかった.
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