■多面体元素定理のゆくえ

 空間充填2(2^n−1)胞体の体積と空間充填2^n+2n胞体の体積はすでに求まっている.

[1]1辺の長さ1の空間充填2(2^n−1)胞体の体積は

  Vn=(n+1)^(n-1/2)/2^n/2

[2]切頂面間距離4/nの空間充填2^n+2n胞体の体積は

  Vn=1/2(4/n)^n

となる.

 n=3のとき,

  2(2^n−1)=2^n+2n

  2(n+1)!=2^n・n!

がいずれも成り立つのは奇跡的一致と思えるのであるが,3次元では空間充填2(2^n−1)胞体=空間充填2^n+2n胞体であるから,それぞれの元素は相似であった.

 しかし,一般には空間充填2(2^n−1)胞体と空間充填2^n+2n胞体は異なる.その場合,それぞれを2(n+1)!個,2^n・n!個に等分した元素が相似になること,もっと一般的には一方の元素m個からなる凸多胞体が,他方の元素n個からなる凸多胞体と相似になることはあり得るのだろうか?

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 空間充填2^n+2n胞体の元素は2×2^nn!個で,正確に立方体を構成することができる.この元素2(n+1)!個で空間充填2(2^n−1)胞体を構成することができるものとする.

 切頂・切稜前の正単体と空間充填2(2^n−1)胞体の体積比は有理比であって,

  2^nn!/n^n(n+1)

で与えられるから,正単体は元素

  2n^n(n+1)^2/2^n

個分の体積であって,nが偶数ならは元素の整数倍であるが,nが奇数ならば有理数倍となる.

 しかし,空間充填2^n+2n胞体の元素から正単体が構成されたわけではなく,矛盾を導くことはできないのである.

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