■ルービック・キューブと神の数(その2)
2010年7月,トマス・ロキッキは「神の数」が20であることを証明した.ルービックキューブのいかなる配置も20手以下で解けるのであるが,ロキッキは195億通りの配置を調べ神の数が22以下であることを突き止めたが,彼は神の数が20であることを確信し,そして解いたのであった.
∞→・・・→22→20
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1976年,ハーケンとアッペルは4色問題(1852年)が正しいことを示したが,その進展を見てみると
[1]1922年,フランクリンは25カ国以下なら4色問題は正しいことを証明した.
[2]1926年,27カ国以下なら4色問題は正しいことが証明された.
[3]1938年,31カ国以下なら4色問題は正しいことが証明された.
[4]1940年,35カ国以下なら4色問題は正しいことが証明された.
[5]1968年,40カ国以下なら4色問題は正しいことが証明された.
[6]1976年,∞カ国以下なら4色問題は正しいことが証明された.
4→・・・→27→31→35→40→∞
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コンピュータ計算による網羅的な探求の例としては,以下の3つの有名な極値問題が解決されたことがあげられる.
(1)1998年,ヘールズはケプラーの球の詰め込み問題(1611年)が正しいことを示した.
(2)1976年,ハーケンとアッペルは4色問題(1852年)が正しいことを示した.
(3)2010年7月,トマス・ロキッキは「神の数」が20であることを証明した.
ほんの少し前まで,これほど膨大な場合についてすべて検証するという証明方法は実現不可能であった.しかし,この証明をコンピュータを使わずにたどることは不可能である.
ルービックキューブのいかなる配置も20手以下で解けるのであるが,(1)(2)と比べてもとりわけ進展が速かったのはコンピュータの勝利?,それとも数学の勝利になるのだろうか?
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