■ヒルツェブルフの符号数定理とベルヌーイ数(その8)
特性類について聞きかじったことをまとめておきたい.
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[1]A種数
(√x/2)/sinh(√x/2)=1−x/24+7x^2/896+31x^3/967680+・・・
A1=−1/24p1
A2=1/5670(−4p2+7p1^2)
A3=1/967680(16p3−44p2p1+31p1^3)
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[2]アティヤ・シンガーの指数定理
A種数は定義から一般に有理数であるから,整数になるとは限らない.しかし,4n次多様体がスピンならば整数値をとる.
A[M^4n]=Z
たとえば,K3曲面K^4に対して
A[K^4]=−2
この整数性定理はアティヤ・シンガーの指数定理と呼ばれる.有理数の1次結合がことごとく整数になるという驚くべき定理なのである.
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[3]まとめ
オイラー数を曲率の積分で表すガウス・ボンネの定理は,2次元に限らず,2n次元についても拡張されて成り立ちます.これは,ポアンカレ・ホップの指数定理とも呼ばれています.その後,ガウス・ボンネの定理はチャーン(陳省身)によって高次元に拡張されました.
また,ガウス・ボンネ・チャーンの定理,リーマン・ロッホの定理,ヒルチェブルフの符号定理など,それ以前に知られていた幾何学の代表的ないくつかの定理を統一したものが,アティヤ・シンガーの指数定理なのです.
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