■二項係数と多元数(その3)
|a|・|b|=|c|,すなわち
(a1^2+a2^2+・・・+an^2)(b1^2+b2^2+・・・+bn^2)=(c1^2+c2^2+・・・+cn^2)
の恒等式はn=1,2,4,8に対してだけ満たされるという驚くべき結果が19世紀末,フルヴィッツにより証明されています(1898年).
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【1】ラドンの定理
1923年,ラドンはフルヴィッツの定理を次のように一般化しました.
n=(2a+1)2^(c+4d),c=0,1,2,3とする.
(a1^2+a2^2+・・・+ap^2)(b1^2+b2^2+・・・+bn^2)=(c1^2+c2^2+・・・+cn^2)が存在するための必要十分条件は
p≦2^c+8d
が成り立つことである.ρ(n)=2^c+8dはフルヴィッツ・ラドン数と呼ばれる.
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(Q)(a+b)^nの二項展開の係数は,nが2^kの形であるとき,そのときに限り両端の1を除いてすべて偶数となることを証明せよ.
(A)二項定理より
(1+x)^n=Σ(n,k)x^k
より,
(1+x)^n=1+x^n (mod2)
となるすべての自然数nを求めればよい.
[1]n=2のとき,
(1+x)^2=1+2x+x^2=1+x^2 (mod2)
が成り立つ.
[2]n=2^kのとき,
(1+x)^2^k=1+x^2^k (mod2)
が成り立つと仮定すると,n=2^(k+1)のとき,
(1+x)^2^(k+1)=((1+x^2^k))^2=1+2x^2^k+x^2^(k+1)=1+x^2^(k+1)
が成り立つ.
(mod2)
また,任意の自然数は
n=(2a+1)2^b
と表せるから.n=2^kmの場合も調べてみるが,
(1+x)^2^km=1+x^2^km (mod2)
は成り立たないことがわかる.
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