■ウォリスの公式とオイラー積(その9)
ここでは,離散コーシー分布
f(x)=C・1/(1+n^2) (−∞<n<∞)
について考えてみますが,
Σ(-∞,∞)1/(1+n^2)
=π(1+exp(−2π))/(1−exp(−2π))
=π/tanh(π)
より,
C=tanh(π)/π
となります.すなわち,連続コーシー分布の1/πがtanh(π)/πに変わった形をしているというわけです.
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Σ(-∞,∞)1/(1+n^2)=π/tanh(π)
や
Σ(-∞,∞)1/(n+α)^2=π^2/(sin(πa))^2
α=1/2→ Σ(-∞,∞)1/(n+1/2)^2=π^2=6ζ(2)
はパーセバルの等式の応用として得られる公式で,とくに
Σ(-∞,∞)1/(1+n^2)=π/tanh(π)
Σ(-∞,∞)(−1)^n/(1+n^2)=π/sinh(π)
は,ゼータ関数の値を直接表すものではないもののゼータの香りが漂う美しい式と考えられています.
この結果をさらに一般化すると
Σ(-∞,∞)1/((α/2π)^2+n^2)=π(2π/α)/tanh(α/2)
α=2π→Σ(-∞,∞)1/(1+n^2)=π/tanh(π)
α=π→ Σ(-∞,∞)1/(1/4+n^2)=2π/tanh(π/2)
を得ることができます.
見方によっては逆正接関数と双曲線正接関数の間の変換式になっているというわけです.
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[参]加藤和也・黒川信重・斉藤毅「数論T,Fermatの夢と類体論」岩波書店
によると
Σ(-∞,∞)1/(1+n^2)=π/tanh(π)
Σ(-∞,∞)1/(1+n^2)^2=π/2(exp(4π)+4πexp(2π)−1)/(exp(2π)−1)^2
の2つの公式は,
Σ(1,∞)1/n^2=π^2/6=ζ(2)
Σ(1,∞)1/n^4=π^4/90=ζ(4)
のようにゼータ関数の値を直接表すものではないが,同様の世界に属していて,ζの香りが漂っているように思われるとコメントされています.
これらの式は
Σ(1,∞)1/(a^2+n^2)=π/(2atanh(aπ))−1/(2a^2)
Σ(1,∞)1/(1+a^2n^2)^2=π^2/(2sinh(x/a))^2+π/(4atanh(x/a))−1/2
と等価です.
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